「と・・・とらえもん!?」 と、僕が驚き 「そうだよ。虎江門だよ。」 と、機械が喋った。 シルエットはあのロボットによく似ている。 顔はタイガーマスクに似ている。 「君を助けにきた」 とらえもんはお腹にあるポケットを探り始めた 「えっと聞きたい事がありまくりで・・・」 「君はこれで戦うんだ」 とらえもんは銃を取り出して笑った。いやいや、笑えないよ。そうだ、気絶してみよう。夢に違いない。僕は気絶した
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目を覚ますと僕はベッドの上だった。時計を確認すると、針は午前6時を過ぎたあたりを指している。 「うわっ、まだこんな時間じゃん」 今日は土曜日。あんな変な夢さえ見なきゃあと4時間は寝れたはずだ。 さあ、改めて夢の世界へ… ー 「はい、お疲れさま」 「っ!?」 「現実逃避は楽しかった?自ら気絶を試みる人間は初めて見たよ。やっぱり君を選んで正解だな」 どうやら、僕の現実逃避力にも限界があったようだ。
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僕は確かに寝た筈だ。 それは間違いない。 ……確かに、前に見た夢の続きを見ることは、たまにある。 でも、さっきの今で、そんなことが起きるだろうか? 「これって夢、だよね?」 恐る恐る、僕は、猫型の虎顔ロボットに尋ねる。 返ってきた言葉は、夢とも現実とも言えないものだった。 「はぁ……夢と現実の区別がつかないなんて、本当に、君にはボクの助けが必要のようだね」 ……って、これは現実なのか!?
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「へなちょこハンマ~」チャッチャチャ~ん♪ 変なBGMがどこからか聞こえ虎江門は巨大なハンマーをポケットから取り出した。 「このハンマーは使う人のパワーを百分の一に弱める。ボクのパワーは地球をも砕くからね。オリャーッ!!!」 ≫>げべほげえ‼<≪ ハンマーは僕を床に減り込ませ一階まで突き落とし更に床に減り込ませた。 「ぐへっ…ぶは、ハァハァ…ゆ、夢じゃない」 吐血しつつ僕は現実を確認した。
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階段をドカドカと踏み鳴らして虎江門は一階に降りてくる。 「どう、これで少しは信じる気になってくれた?」 僕を覗き込むその姿はまさにリングに沈めた獲物を見るプロレスラーだ。顔はドラ○もんに似てちょっと可愛い。 「わかったよ、これは現実なんだね…」 ここまで来たら認めざるを得ない…。 「よし、じゃあ戦いに行こうか!」 差し出される虎江門の丸い手。 数分後、僕と虎江門は近所の空き地に立っていた。
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「あの、ここで…」 「しっ」 虎江門は僕を草陰に連れていった。 「隠れて」 やがて5分後、黒服の男達が空き地にやって来て話を始めた。 その内容は、なんとこれから僕の近所の家に強盗に入るという事だった! 「大変だ!」 「それだけじゃない。あいつらが入る家は君のお父さんの上司の家なんだ。その上司はあいつらに殺され、代わりに昇進した男が嫌な奴で自分の罪を君のお父さんになすりつけて会社を追い出すんだ」
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「なんだって!?それじゃあ、早く捕まえなきゃ!」 僕はとっさに手にした虎江門のハンマーを持って走り出す。虎江門が僕を呼び止める声が聞こえたけれど、そんなの知らない。お前が言ったんだろ!戦えって! 「おい!お前ら!なにしてるんだ!」 僕が叫ぶと、奴らはこっちを向いてニヤリと笑った。 「おいおいちょっと待てよ。君はこの話には関係ないだろ?」 「関係ある!」 僕は叫んで、ハンマーで奴らをぶっ叩いた。
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ペコッ、 あれ?思ったより威力がな・・ 「邪魔だ坊主!引っ込んでろ!」 「ぐへっ」 僕は走って虎江門のところに行った。 「虎江門、話が違うんだけど!」 「はあ、君が使ったのはへなちょこハンマーだからだよ」 ガーン!!!僕は雷にうたれたようなショックを受けた。
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白昼堂々、銃を持って迫る黒服。 「ほら、銃で戦うのが対等だ。でも君は……」 「うるせぇ!」 黒服の銃が胸を穿つ。 (僕は死んだのか?) 「傷ひとつない、だと?!」 死んでなかった。 「君は頑丈だ。地球を砕くパワーの百分の一なんて普通は耐えきれない。さあ、ボクの盾になれ!」 「虎江門?!」 「ボクは精密機械なんだ」 虎江門がハンマーを振るうと、黒服は星になった。最強の矛と盾が生まれた瞬間である。
- 完 -