「犯人はお前だ‼」 高らかな声と指さしが僕に向けられた。 え?違いますけど…
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「僕は犯人じゃない!」 探偵に向かってそう宣言する。事実そうじゃないんだから濡れ衣を着せられるのはごめんだ。 しかし探偵は悪びれる様子もなくこう言った。 「フフフ....そういうだろうと思ってましたよ。でもね、真犯人というものは最初はみんな否定するんです。[自分は犯人じゃない]ってね。しかし最後には崖の上で罪を認めるものなのさ。」 ダメだこいつ....完全に刑事ドラマの見過ぎじゃないか。
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「じゃあ、僕が犯人です。」 「なにぃ!嘘をつくなっ!お前が犯人なわけがない!」 「えっ!だって今あんたが言い出したんだぞ。」 「そんなことはどうでもいいっ!物事には順序ってものがあるんだ!告白するにはまだ早すぎる。よって却下!却下!却下〜!」 なんていい加減な探偵。 いいのかそれで? 彼は言った 「どうやらなにもわかってないみたいだな。 いいか、探偵とゆうものは、"見せ場" これが大事なんだよ。」
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なんだこいつ 本当に探偵か? 「探偵さん いま、見せ場とか関係あります? さっさと解決した方がいいんじゃないですか?」 「見せ場は大事だ! ドラマとか見たことないの? 絶対あるでしょ?見せ場は!」 「そりゃドラマくらい見ますよ でも、それはドラマの話ですしね いま、現実ですしね ドラマの中じゃないですしね」 「もー わかったよ さっさと解決すればいいんでしょ? うるさいなぁ」
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「まずは状況だが、ここは電波も届かぬ洋上の孤島。船は爆破され、脱出は不可能だ。 最初は7人の男女が居たが、一日に一人ずつ殺された。死因はいろいろだが、とりあえずもう名探偵の私とお前しか残っていない!名探偵は殺人などしない。よって犯人はお前だ!」 ちなみに僕は、一日目に一ノ瀬が刺殺された時に、「もう誰も信用できない!自分の部屋に篭る!」と宣言し、さっきまで実行してたのであった。
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「僕には殺人は不可能だ。僕がずっと部屋に居たこと知ってるでしょ。」 「はは…知っているとも。だがそれもアリバイ作りのためだな。こういう時はアリバイがある奴が怪しい。ちなみに俺には無い!つまり犯人は…」 「だからおかしいでしょその推理!」 気づくと僕は怒鳴っていた。 「もういいじゃないですか。あなただって分かってるでしょ。僕達7人が何故この島に連れて来られたのか。どうせ僕ら死ぬ予定だったんだ!」
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ここで少し冷静になる。 「僕とあなたが犯人ではないと仮定した場合、彼等が死んだ理由として三つほど僕には説明できる」 彼等が自殺であった場合 彼等の誰かが死んでいない場合 そして、元々僕達が殺される為にこの島に連れて来られたとしたのなら、殺人犯Xがこの島にいる場合 「それはっ!」 そう、あなたが探偵ならばありえない。 本物の探偵の場合はね。 なぜなら殺人犯xが居た場合、探偵も存在しないからだ
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「もしも、です。貴方が探偵だったとする。そうしたら、Xは真っ先に探偵を狙うでしょう。自分に都合が悪いですから。しかし、貴方は生きている。貴方は探偵でない。Xである可能性は高いんです」 「何度言ったらわかるんだ!私は本物の探偵だし、Xなどではない!」 「…残念ですが」 ここで僕は一息つく。 「貴方、Xでしょう。私が部屋にこもっているあいだに、少しあなたのこと調べさせてもらいましたよ」
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「なにぃ!勝手に俺を探るな!あんな趣味やこんな趣味が発覚してしまうだろっ!」 何言ってんだこの人。 それはさておき、僕は自称名探偵に人差し指を向け言い放った。 「あなたの部屋から血痕の付いたナイフを見つけました。鑑定すればあなたのDNAが採取できるでしょう」 「ぐぬぬ…こうなったらお前も殺して迷宮入りだ!」 「…一様言っておくと僕空手6段ですが…「自首します」 これにて一件落着。
- 完 -