リレーの勝負は一瞬で決まる!

一人目 僕は胸が苦しくなるくらい緊張していた。 トップバッターという大役を任されてからは、毎日練習していた。 放課後も学校に残ってリレーの練習だ。 リレーの練習は9人全員が一日も休むことなくきていた。絶対に負けられない。優勝するぞ。 よーい、 スタート 先生の声とピストルの音が響く。 僕は全速力で走る。 よしっ僕がトップだ! 勢いを落とさずにバトンを次の人の手に渡す。 頼んだぞ。

no name

12年前

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二人目 ピストルの音が鳴り響いた時僕は胸の高鳴りを覚えた。この緊張感が心地いい。 練習の時とはまるで違うこのざわつきが好きだ。 もうそろそろバトンがくる。コースを風のように走ってくる。 そうだ!その感じ!おぉ!いいいぞ! と心の中で叫ぶ。 バトンをもらい風のように走った。皆が見てくれるのが嬉しかった。 カーブのところで少し滑ったがなんとか次の人にバトンを渡した。

かおる

12年前

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三人目。 ピストルの音で僕の心臓は爆発しそうな勢いで跳ねた。本当はとてつもなく小心者なのに、普段から強がっちゃってから、そんな様子は表に出せない。汗を拭う振りして口元を隠すと自分に何度も落ち着けと言い聞かせた。 手渡されたバトン。 思わず落としそうになりながら受け取るとコーナーを曲がっていく。 次の走者へと手渡せば、尋常ではない心臓の音。まるで僕自身が心臓みたい。 そのまま行ってくれ!

Calc.

12年前

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四人目 ピストルの音は私には少し刺激が強すぎた。普段、文系であまり友好的ではない私がリレーのメンバーに選出されたのは、ただ足が速いだけという理由。おかげで参加した練習で、同級生と話が出来たけど、、、 バトンが来た! 私には荷が重過ぎるよ! 嫌だー!無理だー! しかも、トップのまま、、! 受け取っちゃった! 走らなきゃ、走らなきゃ、、、 ズテン! やば。転んだ。 最悪。

やんも

12年前

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五人目 あっ!転んだ! ピストルの音で最高潮に高まった緊張感は、一気に焦りに変わった。 お願い!立って!転んだ仲間の横を他チームが一人二人と走り抜く。 これ迄一緒に頑張って来たんだもの!私はキミを信じてる。 だからキミも私を信じて! 一歩一歩、 皆の想いを繋ぐ、 そのバトンを! 私はゆっくりスタートした。 パンッ!と掌にバトンの感触! 任せて!キミの頑張り無駄にしない! 私は一気に加速した。

真月乃

12年前

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六人目 空気を切り裂く乾いた破裂音が、私の心の臓を穿つ。 穿つとは比喩ではなく、事実の報告だ。 そう、私は六人目の被害者。 だっておかしいではないか、運動会のリレーだとしたら、 なぜ次の走者に移る度、銃声がなるのだ? 無駄話はよすことにする。 死ぬまでに次の走者へバトンを手渡さなければ、いけないのだ。 首の無い鶏の気分を死ぬ前に味わうとはな。 なぜ、こんなことになったのか……

@堕人

12年前

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7人目 ピストルの音と同時に俺は第1走者に叫んだ。 「いけっ!」 いいぞいいぞ。みんな練習より速い!おっと4人目転んだ、でも大丈夫!全員で差を詰めて行けばいいんだ。 6人目にバトンが…ってあんのバカ!また空想か?!こんな時に空想に耽ってるのか?! 俺はスタートラインで何故か胸を押さえてる第6走者に叫んだ。 「お前は死なない!俺にバトンをくれ!」 よし、走り出した。前に4人か。俺が絶対2人抜く!

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八人目 ピストルの音と同時に、俺は隣のレーンにいる走者を睨んで、火花を散らした。 優勝候補筆頭のチームと競うには、こいつに差を開かせてはいけない。 うちのチームの7人目はグイグイ速度をあげている。 「負けてられないな」 その場でホップをして、身体を温める。 隣にいた走者が助走を始める。続いて一番端の走者がスタートを切る。 目の前にいるのは残り2人。気合いを入れてバトンを掴んだ。

aoto

12年前

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9人目 パンっという音を聞きながら、個性的なクラスメイト達が思い思いの走りをしているのを眺めていた。 勝負がつくのは一瞬だ。 アンカーを任せられたのだから、誰よりも早く走ってみせる。 8人目の走者が1位争いのデッドヒートを繰り広げる。 バトンが近づくにつれ、鼓動が早くなった。 絶対、あの白いゴールテープは俺が切ってやる! 俺は全力で地面を蹴った と同時に白い靴ひもが切れた。

リッチー

12年前

- 完 -