デンキウナギ

昨日、ケツの穴からウナギが出た。 用を足したと思ったら、ウナギだった。 今日もまた腹が痛くなってきた。 またウナギが出たら、どうしよう。 不安を感じながらトイレに入った。 今日は電気ウナギだった。 電気が流れてケツが痛い。 ちくしょう、一体何が起こってるっていうんだ。 不安と共にワクワク感も込み上げてくる。 明日は一体何が出てくるんだろうか。

seiryu

11年前

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なんだか今日は、ケツの穴がピリピリする。 思い切りひりだすと、全身に稲妻が落ちたような衝撃が走った。 ほんの少しの快感と、恐怖を胸に便器へ目をやると 「こいつは……」 そこいたのはデンキウナギだった。

MIKI

10年前

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さすがに二日続けての電気ウナギは、体にこたえた。ひとまず肛門に軟膏を塗り、堪え忍ぶことにした。 今日は少し食材を変えてみよう。ケツからウナギが出るメカニズムは謎だけど、基本は脱糞と同じ構造のはずだ。何となく野菜を多めに摂ろう、と思った。 そして、深夜1時頃、肛門を切り裂くような雷鳴が走る。「またか」と嫌な予感を感じながらも、トイレに駆け込み、便器を覗く。と、 豆電球があった。しかもLEDだ。

aprico

10年前

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いやいや、豆電球とLEDは別物だ。豆電球には極性は無いが、LEDにはアノードとカソード。つまり+極と-極が指定され……思わず動揺して中学の理科の教科書を思い出してしまっていた。 野菜を食べたらLED。つまりエコな物が出てきた。まぁ野菜は健康に良いしな。 じゃあ、健康に良くない物なら何になるだろう?俄然興味が湧いてきた。 コーラ、ハンバーガー。思い付くジャンクフードをありったけ詰め込んだ。

KELL

10年前

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遂に来た便意。 一体何が出て来るのだろうと言う興味。 そして自分の体が心配ではあったが、勝ってしまった好奇心。これは仕方がない。 肛門を硬い物が通過していく。 実はある程度それは予想は出来ていた。 その塊にはご丁寧に「pu(済)」と書いてあった。 流して大丈夫だよな? はい。流しました。 一体自分の体はどうなっているんだろう? 人を辞めた記憶は無いし、病院…行ってみるか。

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「肛門の炎症以外いたって健康ですよ」 「はい…?」 思わず口に出してしまった。そりゃそうだ。肛門から便以外のものが出てきたのだから。 「もし、そんなに心配なようでしたら、精神科にも行ってみてください。疲労が原因かもしれません」 疲労が原因だというのなら俺のケツの痛みは一体なんなんだ。 そんなことを思いながらも、精神科に行くことにした。

largo

9年前

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肛門科へは一度訪れたことがある(痔)から幾分敷居は低かったが、精神科とは未知の領域だった。しかしプロならウンコウナギも朝飯前だろう。 「そうですか。辛いことは忘れてもいいんですよ」 「はい。…はい?」 人の良さそうなきっと優れた医師だと思う。ただ、ケツの痛みが変わらず主張し続けている。 「そうだ、同僚もね『ケツからウナギ』と連呼するんですよ。あいつも働きすぎ…」 藁にもすがる思いで詳しく聞いた。

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「なんと言いますかね。人間、疲れてると脳が正常に働かないんです」 「はぁ」 「よく寝てください。3日も休めば元通りですよ」 その口振りから話を信じていないことが伝わってくる。 「本当にウナギなんです!」 医師は困ったような顔をした。 「触ってみました?」 「それは……」 「気になるなら触ってみるとよろしい」 あまりおすすめは出来ませんが、と苦笑する。 結局満足な答えは得られないまま診察は終わった。

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それから、私は三日休みを取った。 1日目はゴロゴロし、 2日目はゴロゴロし、 3日目はゴロゴロした。 が、デンキウナギはそれ以降もで続けた。しかも段々と電圧が上がってきている。 そろそろまずいか…。 いや、待てよ。 食べたら出るんだろ? だったら食べなければいいんだ! そう思い、断食を始めた。 2日後にはもうウナギは出て来なくなった。 しかし、お腹が空いた。 私は空腹に負けてしまった。

rafael

9年前

- 完 -