ふと、僕は夜空を見上げた。空にはあの頃とと同じ様に星が瞬いていた。 「あの子はどうしてるかな。」
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天の川が別つ二つの星に想いを馳せ、呟く。 しかし、二人の間に別段大きな障害があるわけではない。 あるのは微妙な距離。それを縮める一歩を僕は踏み出せずにいる。
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その変わらぬ状況にため息を一つ するとホロリと流れ星 それは僕の心情を表しているようで… 涙が出た…。
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あの子はまだこの街にいるのだろうか。 それとも、どこか遠いところに行ってしまったのだろうか。 どっちにしろ、僕にはもうそれを知る術はない。
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再び頭上を流れる星に、 すがるような思いで僕の願いを。 どうかどうかどうか 三度の呪文を唱えることは、 あの子に逢うよりむつかしい。
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でもね。こんな風に考えてみてはどうかな。僕たちが見れる流星なんて一秒にも満たないよ。分かってる。 じゃあそれで終わり? その見た流星は今この瞬間もどこかで、誰かの想いを、たくさんの願いを乗っけて飛んでいるかもしれないのに! これってとてもロマンチックに思えはしないかな。 僕だけかな。 少なくとも三度願いを言えなかったことに比べれば、僕には素直に素敵だと感ぜられる。
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わかってる。そんなことはあり得ない。あれは屑。焼かれながら、光るんだ。光って、消えた。そしたら誰のところにも輝かない。 それでも誰かのところに輝いてくれてたら。僕が言えなかった言葉を、誰かが言えてくれてたら。あの流れ星が僕の前を過ぎたことも無駄じゃなかったと思えるんだ。 僕の目の前からもういろいろなものが過ぎてしまった。願いごとを三度唱えることも、引越し先を聞くことすら僕には出来なかった。
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願い事を3回言えないのと、 引っ越し先を聞けなかった後悔は雲泥の差がある。 どうしてと後悔している自分が情けない。 僕には彼女しかいない、 流星は宇宙で毎日なん万と生まれる、 僕の彼女はただ一人 探そう。 ぼくの光は彼女が握っている、それを探しにいくんだ、そして永遠に離れないまほうをかけるんだ。 空を見上げるよりも容易いと感じられた あぁ僕ならきっと彼女につながる道が見つけられるさ
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もう一つ流れ星。 けれど僕はもう彼女のことを祈らない。 この流れ星への願いは、この世界のどこかにいるさっきまでの僕のような人へ。 僕はもう、大丈夫。
- 完 -