雨に広がる鮮やかな血

雨。心地の良いリズムで窓を叩く雨の音。その中に混じるのは女の悲鳴だ。女の腹は裂かれ、腸が床にどくろを巻いている。酷い臭いが充満した部屋で、殺人鬼は恍惚の笑みを浮かべた。

ジョン

12年前

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雨。今日は、何処へ出かけようか。 若い女、幼い子供も良い。筋肉のついた成人男性も、やり甲斐がありそうだ。 三日前に感じた、ぬるりとした体温を、また求めている。 てらてらと、蛍光灯に照らされる、赤い、赤い、アスファルトを思い出して、あの時触れた手が、快感で痺れる。 人を殺すことによって生きた心地がするなんて、間違ってると、思ってた。 でも、もう戻れない。止められない。 さて、今日は何人殺そうか?

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雨。三人殺した。心地良い断末魔を聞き、鮮血のシャワーを浴びた。殺人鬼は真っ赤に染まった己を鏡ごしに見る。ああ、なんと美しく、艶やかなのだろう。 殺した男を中心に血の海が広がっている。その血だまりに何度も触れる。 これがさっきまで生きていた者の血なのだと思うと興奮する。 温かい……なんと温かいことか。 さて、明日は何か変わった趣向を凝らそう。 ただ殺すだけでは、もったいないでしょう?

cto

12年前

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「ニュースです。 殺人通り魔事件の 被害者がまた三人 増えました…」 最近、ずっと起こり続けてる 通り魔事件。 俺は、その事件の捜査を している。 この仕事を始めて数十年。 この事件を最後に 警察人生を終わらせるつもりだ。 最後の最後で、もの凄く 厄介な事件が舞い込んできた。 犯人は、全く関係が無い人を 残虐に殺していく。

Caneko

12年前

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雨。綺麗だ...人間の腹の中って...この腸を引き摺り出す感覚...そうだ、お前にも見せてやろう。そっか、このままじゃ見れないね。じゃぁ〜 ...これなら、よく見えるだろう?俺もお前の血を浴びて真っ赤だ...赤って綺麗だね。お前も綺麗だよ。 「また、殺られましたね。今度は首を切り落として、腹の中か...」 「奴は決まって雨の日に...証拠も雨で流される...プロファイラーは何て言ってる?」

blue

12年前

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「雨になると休める、休まざるを得ない職業」 「死体の切断の手口の鮮やかさ。そんな技術を必要とする職業に従事しているか、その経験のある者」 「遺留品や犯人の痕跡は雨のためとは言え全く残されず、衝動的ではなく計画的な犯行の可能性」 「目撃者がおらずその様な場所を選んでいる事からかなりの土地勘がある」 「現時点ではこんなとこですね」

Noel

12年前

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雨。一人の少女を殺そうと思った。 先客がいたらしい。 父も母も兄も飼い犬も殺されていた。 先客を撃ち殺すと、血溜まりの床に殺人鬼と少女だけが残った。 それでも少女は、向けられた銃口を覗き込みながら、ずっと黙っていた。 つまらない。 その目は死んでいた。 死んでいる人間を殺しても、面白くない。 殺人鬼は少女を生き返らせようと思った。 どうせ殺すなら楽しく殺したいからと、最初はそんな理由だった。

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「お前は、何を望む」 銃口を向けたまま、殺人鬼は少女に問う。 琥珀色の瞳は虚ろに、静寂を保ったまま。 「お前は、何を欲する」 殺人鬼は静寂を壊すことなく、少女もまた口を開くことはない。 「お前は、何を願う」 少女はそっと手を伸ばした。 愛おしそうに銃口をなぞり、そっとそれを額に引き寄せた。 「そうか」 殺人鬼は諦めを言葉にする。 少女は目を閉じた。 「お前は、もうーー」

あさき

12年前

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雨。殺人鬼はどこだ?視界に入らなくなった殺人鬼を探した。ふと、目線を下へ移した。 美しくない。 この少女の殺し方は美しくない。 ただ、銃で撃っただけ。 殺人鬼は死んでいた 俺が、美しい殺し方を教えてやる。 俺は、少女に向かってナイフを振り下ろした ザシュッ!その音は人体が切れた音…ではなかった。地面わこすった音だった 「ねぇ知ってる?私ね」 銃口が俺に向けられた 「人ってね儚い物なんだ。」

聖来

12年前

- 完 -