赤ずきん様

「お婆さんは何故そんなに目が大きいの?」 「お前をよく見るためだよ。」 お婆さんに変装した狼は、赤ずきんを食べる瞬間をじっとベッドの中で待ち構えていました。 「お婆さんは何故耳が大きいの?」 「お前の声をよく聞くためだよ。」 いよいよだ。 「お婆さんは何故口が.....。」 キター! 「汚いし、臭いし、裂けてるし、マジありえない!ねえなんで?」 えっ? 「なんで臭いの?」 .....。(泣)

12年前

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「お婆さんは…口が…口が臭い…かい…?」 「うん、臭い。不快。あれ、お婆さん泣いてるの?なんで?」 「おお…無邪気な赤ずきん。その無邪気さゆえ、お婆さんは深く傷ついたんだよ」 「ふーん、可哀想なお婆さん。口がドブのように臭いから、悲しいんだね」 「…」 言わせておけば!もう段取りなんか知らん!この小娘喰ってやる! 「お前な…」「はい、どうぞ」 「そ、それは…ブレスケア⁉」

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「大好きなお婆さんだもん。お父さんが使ってたやつをパクってきたの。前からお婆さんの口、臭かったもんね」 口が悪いがなんて気の利く… 狼には、赤ずきんに後光が差しているように見えた。 「でも、今日はなんか違う口臭がするわ。それに何故お婆さんはそんなに…」 お?きたか? 「顔が気持ち悪いの?」 ふぇ? 「そ…そんなに、き、気持ちわ「ええ。不愉快極まりないわ。ねぇ、…なんで⁇」 悪魔…。

moti

11年前

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だが、赤ずきんの顔に悪意は全く無く、澄んだ目でこちらを見つめていた。 「こ、この顔は生まれつきなんだよ」 「ふ〜ん、何か可哀想だね。あ、今度知り合いの美容整形を教えてあげるね」 その無垢な笑顔とは裏腹に、彼女の言葉は狼の心にグサグサ突き刺さした。 「でも、お婆さんは何故そんなに声が低いの?」 「それは、ちょっと風邪を…」 「ふ〜ん、だからそんなゾンビみたいな酷い声してるんだ」 …。

hyper

11年前

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何だろう、この赤ずきんは。 的確に狼ごころを抉っていく。そしてそこにたっぶり塩をかけてくる。 「あ、赤ずきんや。わたしの可愛い孫。どうしてそんなに酷いことをいうんだい?」 「酷い?酷いのはお婆さんでしょ?お婆さんみたいな薄汚い肥溜めがお似合いな人の孫って言われてすごく傷ついた。もう二度と、孫だなんて言わないでよ」 きらきらした目は純粋な怒りで彩られている。狼は思わず閉口した。

月野 麻

11年前

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「…よし逃げよう」 狼が布団から出ようと毛布に手をかけると、赤ずきんは狼の手をギュッと握った。 「あらお婆さん何をしているのかしら?私がいつ布団から出ていいなんて言ったの?」 狼には赤ずきんがドS女王に見えた。 「ご、ごめんね。少しトイレに行きたくなっtって痛い痛い痛い‼︎」 赤ずきんは狼の手を締め上げる。 「お婆さん、私ともっとお話ししましょ?ニコッ」 (…この子やばい)

こん

11年前

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「お婆さん、せっかく私が来てあげたんだからちゃんと私を楽しませて。」 赤ずきんは狼を組み伏せた。 「あ、赤ずきんや…。どうしたんだい?」 「どうかしてるのはお婆さんの口でしょう?ブレスケア食べてもどうにもならない最悪な臭いのうえに本当に汚いわね。最悪。ねぇ、面白い話してよ。ねぇねぇ。」 目が笑ってないです…

naname

11年前

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面白い話かい? 私は、昔な、こいだめに、落ちてからというもの、臭いが、臭くなってしまったんだよ。 赤ずきんは、それを、聞いて、サァッーとひく‥。 お婆さん、全然面白くないんだけど‥。 ていうか、下品過ぎる。 臭い。臭い。 もっと、面白い話ないの‥? この娘って、いったい‥。

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「あ〜あ面白い話1つできないなんて役立たずなお婆さん」 そう言って赤ずきんは、持っていた鋏をズブリと狼の腹に突き立て、ザクザクと切り始めました。 「ヒぎゃアぁぁぁ!」 「ウケるぅ〜!お婆さんのリアクション超ウケるんですけど!」 すると大きく割かれた腹から、本物のお婆さんがごろりと出てきました。 「イリュージョン!?スッゴーイ!」 狼の血で真っ赤な赤ずきん様は、そう言って笑いましたとさ。 お終い。

- 完 -