ランチタイムを君に捧ぐ!

学食の一番人気メニューを奪い合う。そんなシーンを漫画やドラマでも見かけたことがあるだろう。 実は、この学校でもよく見かける光景なのだ。 毎月15日の「ふる〜つろ〜るけ〜き」 ある生徒は己が身体能力を頼りに勝利への道を突き進み、ある生徒は狡猾な策略によって獲物を狙う。 昼休みまであと80秒、心既に授業にあらず。 戦いは始まろうとしている…

13年前

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最高学年である斉藤は己の足に絶対の自信を持っている。 そう、彼は陸上部のエースで受験生の身でありながら未だに部活を続けている、所謂スポーツ推薦組なのである。獲得したタイトルや賞は数知れず、恐らく県下でも彼に敵うスピードを持つ者はいないと言って良い。 であるからこそ、彼は絶対の自信を己の足に持っている。 そして彼はろ〜るけ〜き五人衆と呼ばれる最強の一人だった…

non@me

13年前

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しかし、その斎藤の足を、力で以て凌ごうとする者がいる。今年から新たにろ~るけ~き五人衆の一人として名を馳せるようになった、一年生の木村だ。 木村は相撲部であり、生まれもって恵まれた体躯を誇っている。身長は2メートル近く、体重はゆうに100キロ超。その力をもって突き進めば、殆どの生徒は恐れをなして引き下がるか、弾きとばされてしまうかのどちらかだ。 まさに力では最強、それが木村だった。

lalalacco

13年前

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先の2人は己の身体をもってろ~るけ~きを手中に収めていたが、違う方法でろ~るけ~きを手に入れるものがいた。 二年の百武だ。IQ169全国模試34番の彼は己の知力を駆使した。 その日ごとに登校者数、机の配置から完璧な計算で食堂までの最短ルートを弾きだし、あらゆる罠を使い数多の生徒をリタイアさせた。 ろ~るけ~き五人衆… スピードスター斎藤、重戦車木村に続き彼は平成の孔明百武と呼ばれていた。

Tsururin

13年前

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4人目はろ~るけ~き五人衆で唯一の教師、体育の岩田である。 「暑苦しい」という言葉が似合う彼は、その風貌に似合わず、生粋のスイーツ男子である。 チャイムが鳴った瞬間、全速力で給食室に向かい、その必死の形相で生徒を戦意喪失させ、ろ~るけ~きをせしめている。 生徒からは「疾風のスイーツゴリラ」と呼ばれ煙たがられている。 家庭科の野村先生に思いを寄せているが、全く相手にされていない。 無論、童貞である。

JPClown

13年前

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周りを見ると同じ目的を持っているであろう者たちが既に臨戦態勢を取っている。

noname

13年前

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それを見ていたのは2年の坂井。 何を隠そう、彼はろ~るけ~き五人衆の最後の一人だ。 しかしこれといって特技や特徴は無い。 ただ、運がいいのだ。 先月は友人を保健室に連れて行った帰りにチャイムが鳴ったらしい。 ーーーチャイムが鳴った。 全校生徒が「打倒!五人衆」の声を揃え、食堂へ走る。 五人衆は、「誰にも取らせまい!」と食堂へ走る。 戦いの火蓋は切って落とされた!!

ルーク

13年前

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先頭は斉藤。廊下のハードルトラップを楽々と飛び越していく。 別階の木村、ハードルも生徒も一緒くたに撥ねているようだ。 トラップの仕掛け主百武は、二階の窓からグライダーで滑空。給食室へ一直線に向かう。 「うおおおおお!」と雄叫びをあげつつ追い上げてくるのは勿論岩田。数多の生徒がどん引きしている隙を駆け抜ける。 出遅れた坂井は諦めて教室に。が、トラップでルート変更をしていたけ~きワゴンは彼の近くに!

リベー

13年前

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「させるか!」 既に他の四人、数十人の生徒がワゴンの至近距離まで迫っていた 宙を舞う無数の文房具武器、漢たちの雄叫び… がしっ! ギリギリ間に合い、け〜きを手にしたのは坂井。だがまだ戦いは終わらない。彼は追っ手を振り払いながら階段を 駆け上がり、教室へ戻った 「金城さん!け〜き、獲りました!」 「私に?ありがとう///」 このけ〜きは、男子が女子にあげると、恋が叶うというこの学校の伝統名物なのだ。

Midvalley

13年前

- 完 -