世紀末聖夜

「ねえ、ゆうくんはサンタさんになにをおねがいしたのかな?ゲーム?」 「ちがうよ、ママ。」 「じゃあ、本?」 「ううん。」 「あ、わかった。ロボットでしょ?」 「ううん。」 「えーなに?ママわかんないなぁ。」 「あのね、『日本中にはびこるリアじゅうたちをほろぼすばくだん』をおねがいしたんだよ、ママ!」 「えぇ!?」

Dr.K

12年前

- 1 -

私は驚いてしまった。その、爆弾とかそういったものはゆうくんの好きなロボットアニメでもよく出てくるからまぁいいとして。リア充という言葉に驚いたのだ。 そんな言葉をどこから…。 「ゆうくん、リア充って意味知っているの?」 「しらなーい。でもお兄ちゃんがよくリア充爆発しろ!って叫んでるから悪い奴らなんでしょ?」 またあの兄は!ゆうくんのまえで変なことを…。でも安心したわ。意味はわかってないのね。

ハイリ

12年前

- 2 -

「ぼくね、ばくだんでわるいかいじゅうからママをまもってあげるんだ!」 …どうやら彼は、「リア獣」だと思っているらしい。 早いところ収拾つけないと…。 「あのねゆうくん、リア充っていうのは…」 「ただいまー‼︎」 とその時、中学生の兄、智幸が上機嫌で帰ってきた。 「聞いてよ母さん!今日好きな子に告ったら、なんとOKもらったんだよ!やったー!これで俺もリア充ライフだー‼︎」 あっ、馬鹿っ‼︎

hyper

11年前

- 3 -

「ほうわたあぁぁ!」 そう言ってゆうくんは兄に向かって蹴りを放った。 「ゆうくん!」 私の叫びも虚しく兄は自宅の壁にめり込んだ 「う…ぐおぉ…ゆう、貴様ぁ」 「悪いな兄者、これも世界の平和の為だ。」 ゆうくんはそう言うと兄にとどめを刺す為に歩み始めた。 「実の兄にこの仕打ち…貴様、生きて帰れると思うなよ!」 「そんなこと承知の内だ、俺はもう引き返せれない所まで来てしまっている。」 「ふ、外道が…」

ティアラ

11年前

- 4 -

「真の外道は兄者、貴方だ。滅びることを願うのみで、自らは手を下さぬ弱き外道よ。さらにはりあじゅうに寝返るなどと、もう貴方を兄とは呼べぬ」 ゆうくん(?)はともくん(?)に背を向ける。 悲痛の顔に流れる涙が光っていた。 「俺はサンタなる神に核を用意させた。かつての兄である貴方が望んだように、この世界ごとりあじゅうを爆発させる」 か、核⁈ ゆうくん、そんなもの頼んでたの⁈

sora

11年前

- 5 -

「弟よ、お前はサンタなどという神が存在すると本気で思っているのか。」 「なんだと。」 「…ははは。いい事を教えてやろう。サンタなどという神は存在しない!あれはただの子供騙しさ!」 あっ、ともくんそれ言っちゃダメー! 「嘘だ!貴様サンタを愚弄するきか!」 「嘘だと思うなら母に聞いてみればいい。母はサンタの正体を知っている。」 「…母さん本当なの?サンタは存在しないの?」

sabo

11年前

- 6 -

「え、えーと、だからサンタさんというのは聖ニコラウスが、、、」 「母さん」 私の言い訳をゆうくんは真剣な眼差しで遮った。 「言い訳などいらない。サンタがいるのかいないのか、今はただそれだけを聞きたいんだ」 ゆうくん、、、 その覚悟が貴方にあるのなら、私は今真実を告げましょう。 「サンタさんは、、、貴方の心の中にいる」 「う、う、、、うわあああああああ!!」 ゆうくんは、泣き崩れた。

- 7 -

しばらく泣き続けたゆうくんは立ち上がった。 「ならばこの我が自らサンタとなり兄者…いや、貴方諸共りあじゅうを殲滅してやろう!この服を紅く染め上げてくれるわ!」 「ぐっ、そんな事はさせん!おれは分かったんだ。信じ合う心、愛の大切さ、大事なものがあるからこそ人は前を向く!明日を願って生きていけるんだ!」 もう…どうすればいいのこの子たち。 そんな時だった。 玄関の扉がおもむろに開いた。

いちひろ

11年前

- 8 -

「メリークリスマース!」 開け放たれた扉から勢いよく現れたのは、真っ赤な衣装で、肩に白く大きな袋を掲げた夫だった。 「…父上」 「どうしたゆう…なんか逞しい…」 夫は涙ぐむゆう君に声を掛け、優しく笑みを浮かべた。 「パパはサンタさんから、ゆうにプレゼントを渡す役割っていうプレゼントを貰ったんだ」 大きな袋からプレゼントを取り出し、手渡す。走り回り喜ぶゆう君の姿に、愛しい気持ちと安堵が込み上げた。

はねたそ

11年前

- 完 -