novelnove

BL好きな少女

二次元と三次元の違いとは何か。

定義はいくらでもあるが、私にとっての違いは、非常識な日常が描かれていることであろうか。

所謂『腐女子』に分類される自分が、幼馴染と一緒にいる時ほど、その違いを感じることは無い。

彼は自他ともに認める美形であった。馬鹿だが、男気もありモデルのような見た目も手伝って非常によいネタであった。

そんな彼が、私に言ったのだ。

「お前俺をどんな目で見てるんだ」と。

コノハ
- 1 -

「いい幼馴染だと思っているよ」
突然のことで驚いた。
繕うようにストローを口に咥えた。
彼からのジト目が妙に痛い。明らかに何かを疑われているようだった。
「急にどうしたの?」
「最近、お前の噂を聞いたんだよ」

分類されていたとしても、噂になるほど、表立った活動はしていないつもりだった。
知り合いをネタにしているだなんて、バレると面倒くさい。

「俺とデキているんじゃないかって」
そっち?

aoto
- 2 -

「バカらしい」
無関心を装いながら胸を撫で下ろした。

しかしそんな噂があるなら今後の活動に支障がありそうだ。
まず学校で観察がしづらい。こうやって彼の家に出入りすることも。
ゲームで負けた時の苦悶の表情と悩ましい呻き声、これを観察できないとは痛い!

私は空になったコップを置いて立ち上がった。
「もう帰る」

ドアノブに手をかけた時だった。

ドン───!
背後から伸びた彼の手がドアを叩いた。

榛野テル
- 3 -

「ごめん。虫がいてさ」
「あ、そう…」

これはいわゆる壁ドンというやつか。
人生初の体験だったけど、別に気にしない。それより、私が女じゃなくて美少年だったら良かったのに…。

「はぁ…」と重いため息をつくと、彼は体制を同じまま顔だけを私に近づけて、
「お前、最近ため息ばっかりだよな」

こ、これは、もしや「悩んでるなら俺に相談しろよ」「キュン」的なイベントでは!?
切実に男になりたい!

伊藤
- 4 -

「別に、何もないよ」
残念ながら私は美少年ではない。
そんな胸キュンな展開もありえない。
彼は視線を泳がせながら口を動かしている。
でも、声にはなってない。

「本当に何もないのか?」
やっと声になったのはそんな言葉だった。
「何もないってば。もういい?帰りたいんだけど」
そんな事思ってないけど、彼の為にも帰ったほうがいいだろう。
なのに、私の事を足止めするかの様な彼の行動。
ああ、男になりたい!

Face 林檎飴
- 5 -

彼は何か訴えるような目で私を見た。

この目だよ。
描いても書いても楽しい。受けでも攻めでも良いけど、受けなら相手は孤高の探偵みたいな強い男がいいよね。もうね、コテコテのお耽美!な設定とストーリーでさ。よし、次の新刊はそれでいこう。うっかり身内バレしたらヤバイから限定コピ本にしよう。

……何を考えていたんだ私は。
私の顔が相当アレな感じになっていたのか、彼はうさんくさいものを見る目になっていた。

ヒツジグサ
- 6 -

「あんまり心配かけさせんなよ。幼い頃の借りもあんだから」

そういえば彼って昔は泣き虫で大人しくていじめられっ子で背が低かったよね。
これだよ!昔助けてた男の子が、5年後再開して、いきなりイケメンになってて、逆に攻められる!!!
このセリフも使える!惚れてる受けにそっと今のセリフを…。
ってあれ。惚れてることになんの私。
ほんとに男になりたかったなー私。

「あのさ。隠してたことがある。
実は俺」

バルツェ
- 7 -

「お前のことが好きなんだ」
「ああそう…はあ?」

こいつは何を言い出すんだ。
何を言い出すんだ!!
それは美少年に言うことであって決して女の私に言葉じゃないだろう。

え?おかしいって?
どこがだ。
どこもおかしくないだろう。

…そういえばこいつさっき私に借りがあるって言ったな…。
いっそカミングアウトして見るか…。

「…あ、のさ、私も言ってなかったことがあるんだ…実は私、」

シルキャ
- 8 -

「知ってるよ、BLっていうのが好きなんだろ」
 ずっと隠してたはずの秘密が彼から出てきた事に驚愕して空いた口が塞がらない。

 なんで……。

「何十年お前を見てると思ってんだよ。お前が俺を見てBLな妄想をしてる時、俺はお前と付き合ってる事を妄想してたんだ」

 彼はそう言いながら口を近づける、私はそれを拒まず受け入れていた。

 あぁ……なんで私。

 美少年に生まれなかったんだろ。

スガル
- 完 -