ここのつの音、僕はなにを思ふ

ほとり なみだが 零れ落ちて 僕の首もとを 滑っていく感触 心地がいいと笑う きみは夢に沈みこみ その瞼は開かないまま かなしみにくれた僕 きみを救えるのは 僕しかいないと 傲慢な思いを 知らぬまま ぼくらは ほとり

12年前

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ぐにゃり。 歪な それは 僕の 君への 気持ち。 戸惑う君の 瞳そして 渇いている その唇を 濡らし たい。

12年前

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ぶわり 目が合ったの その時ではない それは一陣の風なのだ 僕と君の間を吹き抜けた 僕たちはそれを知ったのは トンボ玉或いはBB弾かしら 君のなみだは誰にもわからない 僕の心がそれを痛みと感じるだけ

12年前

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どろり 暗黒の過去や 血みどろの心や 見窄らしい根性 生きれる世界に 理想だけを求めて そうきっと快感に 溺れる瞬間だけに生きて いつまでも、何もかも 諦めたままでいよう 何が怖いのか 失うのは何か 僕を殺すのは何か 愛したいのは誰か

あかつ

11年前

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ぐさり 君の言葉が こころにささる 僕の全てを切り裂く 君のことば君のひとみ 君は一体何を思っていた 考えるたびに傷は深くなる 僕の心に巣食うのは腐った林檎 誰が戻してくれるのだろう 誰が助けてくれるのだろう 僕はねがう君にねがう 腐った林檎に ナイフを つきたて 君は笑う

おずな

11年前

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さらり ページが捲られるように 時間は過ぎ去っていった そして君だけが残ったの 悲しいの?寂しいのかい? 君はこの世界で一番嘘吐き 悲しいなら笑わないでよ 苦しいなら僕に分けて そうやって僕の朝は 君を失って明ける

月野 麻

11年前

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つるり その手を 離れた感触 不安の高鳴り 過去には戻れず ゆびさき悔やめど 劇的な悲劇の無言劇 形容し難いオノマトペ 万有引力に逆らう術無く どんな人でも林檎と同じで かたちあるものが齎す結果は あとにもさきにも変わらず 故事成語に従うでもなく 俄に出ないイディオム 喜劇の寸劇は現代劇 つまさき踏み締め 未来はただ一つ 崩れる平衡感 滑った感触 その足で つるり

おやぶん

11年前

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ぐらり 世界が傾く 海は空に沈む 破壊は再生に繋がる 僕らは嘘を信じてた 唯一確かな物だから 世界が崩れ世界が回る 目眩がして僕等は立ち止まる 嘘は真実には叶わない どんなに残酷な真実も 真実であれば美しくて 嘘はどんなに飾っても 虚飾に過ぎない 歪な僕等は 空に沈む ぐらり

紫乃秋乃

11年前

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くるり 君は舞う 哀しきかな その美しさや たとえるならば 水にひろがる波紋 或いは水面に映る月 君が無邪気に笑うから 消えてなくならぬ様 両腕広げ僕も笑む ふたりで消えた 闇の深い場所 音のない処 僕も舞う くるり

ゆきち

11年前

- 完 -