【昔話】 ___昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが仲良く暮らしておりました。 ある日、お爺さんは山へ芝刈りに。 お婆さんは川へ洗濯に行きました。 互いが1人になったその時がチャンスです。 2人にはそれぞれある秘密がありました。
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「桃爺さん桃爺さん、鬼を退治してくれませんか」 おじいさんは山で出会った男にそう言われました。 実はおじいさんは桃から生まれたのです。 「でも、わしも腰が痛くてなぁ……」 おじいさんは腰をさすりながら言いました。ですが男は諦めていないようで、更にこう言いました。 「じゃあ僕も一緒に鬼退治に行きましょう。つまらないものですがこれを食べてください」 男はきびだんごをおじいさんに渡しました。
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「鬼婆さん鬼婆さん。一緒に闘うのだ」 おばあさんは川で会った鬼達にそう言われました。実はおばあさんは鬼ヶ島から来た鬼だったのです。 「……わしはもう老いぼれじゃ。もう戦力ならんぞ。」 確かにヨボヨボで使えなさそうです。それでも鬼の大将はめげずに 「かまわぬ。我らが欲しいのはそなたの知略なのだ。腕自慢はとうに間に合っておる………奴が現れたのだ。我らの危機が迫っている。力を貸してくれ。」
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話を終えて家に帰ると、2人はそれぞれ支度を始めました。 「婆さんや。わしは源さんと隣のそのまた隣の山まで山菜採りに行くんじゃよ。明日は家を空けるからなあ」 「おや爺さん、奇遇じゃなあ。わしも明日はタエさんと街まで行こうと思っとるんじゃ」 2人には鬼桃丸という息子が居ましたが、今は旅に出て居て留守です。 空の家に帰っては心配するかもしれないので、書き置きを残して、翌朝早くにそれぞれ家を出ました。
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鬼桃丸は旅の前に川に 水をくみに行きました すると話し声がします 鬼と鬼婆さんが話してます 怖くなった鬼桃丸は 進路を山側にかえました また話し声がします 男と桃爺さんが話してます 鬼桃丸は二人の話を合わせました 「ヤバイあの2人が殺しあう」 鬼桃丸は急いで家に帰って 鬼ヶ島に行く準備をしました 食糧は、あっ!団子がある! これを食べよう あと一応剣も携帯して 1人ではキツイ仲間を集めようか
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鬼桃丸はきびだんご作り始めました、が あまりの楽しさに独自のブレンドと量産技術を身につけ、鬼桃印のきびだんごを売り出した所、評判が評判を呼び、たちまち日本各地で一大ブームとなり、鬼桃丸は時の人となった。 挙兵時には定期購入者に募集をかけた所、応募が殺到し、気付けば5万人を超す大軍勢となっていた。 鬼桃丸はこの大所帯に圧倒したが、勝機はこちらにあると確信した。 あとはこの軍勢をどう島まで運ぶかだが
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「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」 「…なんですか」 「先生、ちょっと展開が難しすぎじゃありませんか?これじゃ子供たちは混乱しちゃいます」 「良いじゃないですか。これも社会勉強の内の一つです」 「いや、でもですねぇ…」 「…では、どうすれば良いと言うのです?貴方の意見を聞かせていただきましょうか」 「え?」 「ですから。どうすれば簡潔に、子供たちに伝わるような絵本になるのか話して下さい」
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「やはりですねぇ、単純にヒーローと悪者の一騎討ちの話しのほうがわかりやすいかと...。」 「鬼桃丸はヒーローですか?」 「主人公ですから、違いますか?」 「では、ヒーローらしく名前の後にマンをつけましょう。」 は? 「鬼桃マン」 いやいや! 「それはチョット」 「敵はバイキンマン!」 いやいや!それはもっと駄目だろ! どっからそのキャラクター出てきた! 「先生、あの...。」 「最後は合体ロボ。」
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「鬼桃丸はきびだんごで稼いだ金で巨大ロボットを開発し天下統一を成し遂げたとさ」 一人の美人な生徒が物語を完結させた。 ちなみにこの場所は昔話研究庁という政府公認の集会だ。 「いいねぇ。それで決定だ」 教授らしき人物が引き出しから印鑑を取り出し紙に押した 「早速レポートを提出するよ」 レポートに教授の印を押して提出するとそれが正式な昔話として認められる。 歴史はいつも、ひいき・・気まぐれだ。
- 完 -