私の本を捜して頂けませんか?
優しい方、私の本を捜す手伝いをして下さりませんか?
私は、本を失くしました。文庫本2冊です。家の中にある事は確かですが、もしかしたら私自身が隠したのかも知れません。
本棚など、目ぼしい所は大体捜しました。でも見つかりませんでした。厚い本なのですぐに分かる筈なのですが…。
どうぞ、お力を貸してくだされば嬉しいです。
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「誰かに貸したりはしませんでしたか?」
いいえ、実はまだどちらとも読みかけの状態で、最後まで読んでいない本を他人に貸すことはしないでしょう。
「トイレに持ち込んでるとか。私はよくトイレに本を持って入って、そのまま忘れて帰ったりするのですが」
私にはその習慣はないのでないと思いますが、一応中を調べてみます。
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トイレにもありませんでした。
「何かの敷物にしていることはないですかね?」
といいますと?
「私は布団の上で寝ころんでキーボードをたたくこともあるので、その場合、分厚い本をマウスパッド代わりにするのです。このように、分厚い本は積むことで物事を支える役割を果たすこともあり得るのです」
それではリビングも見てみます。
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うーん、やっぱりありませんでした。
「うーん…そしたら、観点を変えてみましょうか」
観点を変える?
「その本についてもう少し詳しく教えて頂けますか?もしかしたら、何かヒントが出て来るかも」
え?ああ、はい…。
2冊のうちの一つは、ファンタジーものです。
この作家さんの本は家族みんな好きで、この間も妹が私が読んでいるにも関わらず貸して貸して言うので、仕方なく……あっ‼
妹のカバン‼
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『なんでお姉ちゃんは自分が無くした物をスグにあたしのせいにするワケ?確かに借りたけど、一晩で読んじゃったから次の日の朝食の時に返したじゃない!そんな事も忘れちゃったワケ?あ~やだやだ!歳は取りたく無いね。高一で既に物忘れ激しいってどうなのよ。このぁぃ…』
(い、妹さん、激しいですね。)
いつもの事なんです。
「でも、朝食の時っておっしゃってましたね。キッチンに料理本とかは並べてないですか?」
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料理本はリビングにあります。キッチンに置いて置くと汚れるので。
何冊か持っていますが、どれも大版で分厚くないので、探しているものがあったら気づくと思いますが…見てきますね。
「ありましたか?」
いいえ。ありませんでした。
「そうですか…。ではその本の外形を教えて下さい」
外形?
「ええ。表紙絵の色とか絵柄とか。カバーをつけてたとか」
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そうですね…。たしか両方に、私が手作りのカバーを付けてましたね。
「手作り、ですか?」
ええ。よく、自分の気に入った包装紙でカバーを作ったりするんですよ。たしか使ったのは…和菓子の包装紙で、達筆な仮名が散りばめられていた絵柄でした。
「そういう綺麗な柄だと、本棚以外の場所にある時、確かに分かりにくいかもしれませんね。…無意識に何処かに置かれている可能性もあります」
無意識に?うーん…
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「例えば。片手にメガネを、もう片方にその本を持っていたとします。そしてあなたはテレビのチャンネルを変えたい。リモコンの代わりに本が…」
あ!!同じことをリモコンではなくスマホで、した気がします。
「ちなみに現在、そのスマホは?」
ベッドサイドのコンセントでいつも充電してるんです。
何か、そこにある気がしてきました!!
なんてったって包装紙もベッドカバーも似たようなクリーム色なんです。
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見つかりました!
こんなところにあるなんて。
ベッドサイドには、クリーム色の包装紙のカバーに身を包んだファンタジー小説が1冊。
あぁ助かりました、本当にありがとうございます。
「いえ、もう1冊は見つけることが出来ませんでしたね…」
見つかりましたよ、ほら。もう一冊の本は既に私の手の中にあった。その本のタイトルは、
「私の本を捜して頂けませんか?」
- 完 -
作品情報
私の本を捜して頂けませんか?
#1202
- リレー期間
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1ヶ月