とある主夫の物語な1日

「はぁ 何を書こうか…」 毎回何を書こうか悩む まるで毎日の昼食を考える主婦(主夫)のようだ。 とりあえずいつも通り横になりながら筆を執る。これが僕のスタイルだ。 このまま昼寝をしたい気分だ。 しかし僕にはやる事がたくさんある 趣味の小説に日記、育児、一日10分の運動、掃除洗濯その他いろいろ…なんせ主夫だから 気晴らしに夕飯の支度をしなが考えるとするか…

13年前

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冷凍のミンチを解凍する間に、玉葱をみじん切りにする。ハンバーグは得意だ。頭を使わなくても体が勝手に動いて出来上がる。 あ、料理の話なんかも面白いかもしれない。僕は今、リレー小説アプリに投稿するネタを考えているのだ。 人参をすり下ろす。人参嫌いの子供に気付かれないようハンバーグに仕込む。いつものこと。 うん、伝説の料理づくりの冒険物語にしようか、野菜や肉達の賑やかな会話もいいな。想像が膨らむ。

Pachakasha

12年前

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次に僕は肉を捏ね、適度に両手でキャッチボールをして空気を抜く。 あ、キャッチボールといえば、昔は僕もよく学校の友達としてたなあ。最後の方は暗くて球もよく見えないのに、毎日夜遅くまで。 そういうのもいいな。若き日の青春小説。なんにでも挑戦して、時には失敗して、時にはほろ苦い思いを味わったりして。 自分には無かった「もしも」を考えることも、執筆の醍醐味だよなあ。おお、今日はネタが浮かんでくる日だな。

C.K.

12年前

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もしも僕が高校球児で甲子園に出ていたら…なんてのも面白いけど、野球部だった経験がないから文章にするとリアリティが出ないんだよな。 肉を四つ捏ね終わった。一つだけ小さいのは、明日妻に持たせる弁当用だ。スープの仕込みも終わった所で一服。 「ただいまあ!」 お、息子が帰ってきた。 「ただいま!」 お、娘も一緒だったか。 「おかえり」 さて、付け合わせはすぐに出来るから、先に洗濯物を取り込んでしまおう。

hayayacco

12年前

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僕は洗濯物を取り込み、二人の子供を見ながら一枚ずつ畳み始めた。 そうだ、子供向けの物語風なのもいいかも。あえて言い回しや使う漢字に注意しながら書くのも、以外と面白い。 一通り畳み終えたタイミングで、子供達が寄って来た。 「パパー、トレーニングー!」 「よーし、やるかー!」 僕は子供達を持ち上げて、いつもの10分間ウエイトトレーニングを始めた。 「くっ……‼︎」 「「パパ、がんばれー‼︎」」

hyper

10年前

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上から降ってくる子供達の笑顔と声援に思わず笑みがこぼれる。愛おしい。 あ、こういう小説も良いな。父親目線で幼い子供達との何気ない日常を描く。 ジャンルとしては『家族』になるんだろうけど、『ほのぼの』にもなれるような、特に事件も起きないもの。そういうの、このアプリには多くない気がするし。 トレーニングを終えて、ちょいちょいと寄ってくる子供達を机に向かわせる。夕食までの時間にいくつ投稿できるかな。

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「ただいまー。つっかれた〜」 アプリを開いて考え込んでるうちに、妻が帰ってきた。 「おかえり。今日もお疲れ様」 妻が着替えている間、宿題をしてた子供達を呼びに行く。夕飯のハンバーグは我ながらなかなかの出来だった。 「仕事、何かあった?」 「そうなの聞いてよ!またあのハゲ鷹山の野郎が!」 子供達が部屋に戻った後は妻の話を聞く。あ、RPG風に上司や部下と戦う話なんてのも面白いかも。妻にもウケそうだ。

おちび

10年前

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お風呂の用意をして、家族が順番に入浴を済ませていく間に洗い物をする。 食器を洗いながらもアプリのネタを考える。 いつかシェフになるのを夢見ている、今は洗い物専門のアルバイター青年の話。 ちょっと暗いかな? では、ずっとずっと水が流れ続ける世界でのみずみずしい若者達の冒険談とかは? 洗い終えたものを食器乾燥機に並べ入れた頃に妻が声をかけてくる。 「あなたの番よ〜、お風呂〜」 「うん。わかった〜」

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「うぉ、凄いなぁ!」浴槽は深い青に染まり、キラキラとラメが漂っていた。 「海みたいだ」 深い青の中、光の粒を纏い人魚が泳ぐ。 色とりどりの魚達が列を成して踊る。今日は海の話にしよう。 イメージが消えてしまわないうちに風呂から上がり、寝室へ向かった。 何気ない日常の中から物語が生まれる。時には思いもよらぬ奇想天外な続きだって出てくる。 書き出しは、溜め息からにしてみよう。

9年前

- 完 -