アルファベット症候群

abcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqrstuvwxyzabcdefghijklnmopqr

hornet154

12年前

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stu……… あーもうやめっ‼ なんでひたすら意味の無いアルファベットを打ち続けているんだ俺は? そんなに彼女にフられたのがショックだったのか? もう未練は無いはずたろ? 本調子を取り戻せよ俺‼ 二日前に付き合っていた彼女に突然フられた。元々、俺の方が好きだったし仕方の無いかもしれないが、ずっとこんな調子だ。

Aqua*

12年前

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ぼーっとして携帯をいじrstuvwxyz 違うだろ。 さっきからこの繰り返しだ携帯をいじっていてもメモ帳に落書きをしても気づくとアルファベットを羅列している。 「アルファベット症候群」 そうおもむろに検索をしてみる。 検索結果:0件 そりゃそうだ。アルファベット症候群だなんて俺が勝手に考えた病院なんだからabcdefghijklmnopqrstuvwxyz

らなこ

12年前

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おもむろに打ったアルファベットの、 横の検索ボタンをポチッとおした。 すると目の前の視界がいきなり真っ暗に なった。 なんだ?と、思っていると、 またスっと、目の前の視界が現れた。 でも、ここは俺の部屋じゃない見知らぬ 部屋だ。 すると階段を何人かで上がって来る 音がした。俺はとっさに、その部屋に あったクローゼットの中に隠れた。 ガチャッという音がしたと同時に 「にしても、バカだなあの女」

ミートん

12年前

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俺は思わず息を呑み頬をつねる。しかし俺の目に映るものは変わらない。 背筋が瞬間凍結。驚きで身体が膠着した。 だって仕方がないだろ? 手足の生えたアルファベットを見たんだから。 AとEとSが談笑中。 「だよなー。あいついい奴なのにフっちまってな」 「は? あんなのつまんねえっしょ」 どうやら恋バナらしい。だけど何かデジャブ。 その時。唐突に腹の虫が鳴ってしまった。 「誰だ、今の」 絶体絶命だった。

夏冬春秋

11年前

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鳴ってしまった腹の虫を恨めしく思った。なんでもっと満腹にしておかなかったんだ俺! 「今このクローゼットの中から音がしなかった?」 僅かに開けた扉の隙間から、AESら3文字がこちらに近づいてくるのが見えた。 逃げ場はない、落ち着け落ち着くんだこういう時は… 「そこに誰かいるのか?」 ついにクローゼットの扉が開かれる。 「なんだ、Yじゃないか、もう来ていたのか」 降参ポーズをとったまま俺は固まった。

おちび

11年前

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彼らはなんの疑いもなく俺をYだと思っている。 「お前なんでクローゼットなんかにいたんだよ。来ないかと思って心配したぜ」 Eが親しげに言う。 「ま、まあその…なんだ、いろいろあってな」 「まあ、Yも色々多感な時期なんだから刺激してやるな」 Sが言った。何に多感なのか皆目検討もつかないが、これはチャンスだ。逃げよう。 そう思ってドアへ向かうと、ひとりでにドアが開いた。 「ごめーん遅れたわー」 っY‼︎

すもがわ

11年前

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絶体絶命。 咄嗟に俺はYをドアの外へと押しやりながら、俺自身も外へと出た。 脱出成功?余計な奴も連れてきてしまったが(笑) 「なんなんだよー?」 俺はそそくさと退散した。 …?!は?Yが、俺を追っ掛けてきやがる。 気がつきゃ、A、E、Sまで後ろに見えるではないか!? さて、どうするか?

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「おい!お前!待て待て!」 待てと言われて待つような俺ではない。 しかし、A,E,Sは足が遅い。Yは依然として猛スピードで追いかけている。息切れがする。 辛い!石に蹴つまずいて転倒する。 Yが目の前にいる。「ああ」俺は落胆した。「おい、お前!Yって事は新入りだろ?なら、他のアルファベットになる前に、新しい彼女を見つけろ!異性には普通の人間だ。見つければ、完璧な人間に・・・」 YはXに変化した。

江口鬼扇

10年前

- 完 -