これは、全く違う四人が出会ってできた素敵な物語。 頭が良いけれど、スポーツができない箱崎千春 スポーツができるけれど、美人ではない川島夏芽 美人だけれど、性格が良くない二階堂秋音 性格が良いけれど、頭が良くない林深冬 そんな四人の日常が始まる。
- 1 -
【春】 入学して初めての体育の授業。バレーボールをやるというけれど、とても憂鬱です。 だって私は── パーン! 強烈なスパイクを顔で受けて座り込んでしまいました。みんな無様な私を見て笑ってます。 「大丈夫!?」 川島さんはただ一人心配して駆け寄ってくれました。 「お前ら、笑うんじゃねえよ」 ありがとう、川島さん。 実はスパイクを打ったのは彼女だったんですけど、夏芽は私の初めての友達になりました。
- 2 -
【夏】 クラスの雰囲気にも慣れて来た頃、千春の様子がおかしいことに気付く 手には一通の手紙。私の視線に気付いたのか、千春は手紙を鞄にしまうが内容が見えてしまった。そこには見るに耐えない暴言がかかれていた… 私達は先生に相談したがいい返事はもらえなかった。落ち込んでいると委員長の秋音が事情を聞いてきた。クラスの問題として協力したいと… 私は嬉しかった。 彼女の性格を知るまでは…
- 3 -
【秋】 何か理由があるのかもしれないし…そのうち止むと信じてます。HRの話題になんてしなくていいから。 微笑む千春の目の奥は、傷ついてる。 中途半端な優しさに苛立つ。 家族と友達と賢さ、何でも持ってる余裕なわけ? 傷つけるためだけに綴り続ける。季節が移り変わる。千春が動じないのが悔しい。 メザワリ、キエロ、イナクナレ、シネ 「…秋音?」 千春の机に手紙を押し込むあたしの手を、誰かが掴んだ。
- 4 -
【冬】 人には色んな面があります。笑顔の裏で泣いていたり、怒っていたり。私達はここ(学校)で沢山の事を学びます。勉強だけじゃなく。 振り返った秋音の手は震えていました。 千春の机から、ハラリと手紙が落ちました。 この手紙の中には、美人で委員長の秋音の、もう一つの一面があるのです。 沈黙。 何か話さなくちゃ。 「明日。晴れるかな?」 私の問いに、秋音は怪訝そうに顔を上げました。
- 5 -
【春】 そんなこと、黙っておいてくれたら穏便に事件を忘れられただろうに、と思いますが、深冬の人のよさを責め立てるわけにもいきませんでした。 あの秋音が犯人だったなんて、私は今でも信じることができません。夏芽は私をかばい、間に深冬がいる状況です。 私としては夏芽が味方をしてくれるだけで、後のことは考えたくはなかったのですが、表沙汰になった以上、秋音に対する態度について思案しなくてはなりません。
- 6 -
【夏】 千春にあんな手紙を送ったくせに、誰も表立って秋音を責めない。それは、秋音が美人だから… 部活で帰りが遅くなった日、街で秋音を見かけた。男の人と一緒にいる。父親だろうか… ……違う、父親じゃない。あの人、嫌がる秋音を無理やり連れていこうとしてる! 無我夢中で、知らない男の人を突き飛ばした。 秋音の手を引いて、必死で逃げた。 美人の秋音を、私はいつも妬んでいた。けど、秋音も辛かったんだ…
- 7 -
【秋】 人にはそれぞれの辛いことがあります。自分一人で抱え込んで気付かれずに一人で泣いたり、悔やんだり。 そして、人の表と裏では天使と悪魔のように違うことも、私は知りました。 枯葉の舞うこの季節。 何かが変わろうとしていました。 「千春。話があるんだけど。」 声の正体は秋音でした。
- 8 -
【冬】 「あたし、あんたがきらいだった。頭がいいし、何でももってるでしょう?」そう言った秋音の声が震えてました。千春が連れて行かれるのを見て、私は夏芽と慌てて後を追いました。秋音は何を言ってるんだろう。美人で何でも持ってるのは、秋音じゃないの?「ごめん、私はあんたが妬ましかっただけ」秋音が泣き崩れると、私たちはみんな抱き合って泣きました。「これから私たち、助け合っていこう」そう、誓いました。
- 完 -