せんせいあのね。 きょうはおともだちのかれんちゃんといっしょにあそびました。 かれんちゃんはかわいくて、やさしくて、たいせつなおともだちです。
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せんせいあのね。 きょうはかれんちゃんがほかのおともだちとあそんでいました。 あたしとはあそんでくれませんでした。 あたしはかなしかったけどかれんちゃんはたのしそうだったのでよかったです。
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せんせいあのね。 きょうはかれんちゃんにわたしとはもうあそばないっていわれました。 なんでかきこうとおもったけど、かれんちゃんはもういってしまいました。 かれんちゃんとあそべないのはいやだけど、まえよりかれんちゃんはあかるくなりました
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また、かのんちゃんがきちゃった。 しかも、いつもせんせいとそうだんしてるみたいだし。かれん、なにかわるいことでもしたのかなぁ? どうおもう、うん。そんなことぜんぜんない? そうだよねーよかった。そういってくれるのは、Aちゃんだけだね。 あそぶ? いいよ。いこ、なにしてあそぼうか
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せんせいあのね。 きょう、かれんちゃんとなかなおりできました。これからはずうっといっしょにあそぼうねっていってくれました。とてもうれしかったです。あと、かれんちゃんは、わたしにごめんねっていいました。でもわたしはなんであやまられたのかよくわかりませんでした。だからなんでってきいたら、かれんちゃんはなきだしてしまいました。
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「せんせい、お話ししてもいい?」 職員室を訪ねてきたのは、私のクラスの生徒、香田可憐ちゃんだ。時計は午後5時を過ぎていた。 「あれ、どうしたの。お話しって。何かな?」 可憐ちゃんは暗い顔で俯いている。 「……先生、あのね。私、かのんちゃんが怖いの」 彼女は、一冊のノートを差し出した。 ノートの表紙には『ですのーと』と記してある。 「かのんちゃんのノート、こっそり持ってきたの」 私は中を開いた。
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◯月△日 きょうはかれんがあたしにあそんでくださいとたのんできた、しかたがないからあそんであげた。 かれんはとてもかわいそうなこ、あいてしてあげなきゃかわいそうでしかたない。 ◯月□日 きょうはかれんが、あのかれんがあたしにはむかいやがった。 ふざけやがって、だれがいままであそんでやったとおもってんだ。 これから、いやがらせをしようとおもう。 まずはあいつのかばんにむしのしたいをいっぱいいれよう
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△月2日 かえりにかれんのげたばこにむしのしたいをいれてやった。 △月3日 かれんはいやがらせにきづかなかった。つまんないの。きょうはAちゃんとあそんだ。 △月4日 きょうはかれんとはあそんでやらなかった。だからAちゃんとあそんだ。 △月6日 Aちゃんのおねがいで、かれんにもうあそばないっていってやった。 △月9日 きょうは、Aちゃんとふたりで、かれんのわるぐちをいっぱいいいあいっこした。
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せんせいあのね きょうはかのんちゃんとあそびしました。はじめはおにごっこ、かのんちゃんがおにでした。つぎはかくれんぼ、それもかのんちゃんがおにでした。かれんちゃんはずーとずーとわたしをさがしていました。わたしはかのんちゃんにはないしょでかえりました。おふろにはいると、あちこちけがしててちょっといたかったです。かのんちゃんはいまもおにをしています。たぶんもうすぐみつかっちゃうな。ままにあいたいな。
- 完 -