骨まで愛して
今日の仕事はこれで終了〜っと。
いつもの馴れた椅子に座り、ふうっと一息つく。
テーブルの煙草を手に取り、残り少ない本数を横目に百円ライターで火を付ける。
仕事終わりのこの時間が、自分にとっては繰り返す毎日の中で息抜きにもなっている。
そしていつも通りiPhoneのホームボタンを押し、親指をスライドさせ虚ろな目で画面を眺めている。
…⁈
何かいつもと違う?
あれ…何だこのアプリは。
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黒地にビビッドな紫色の髑髏。その眼窩で赤いハートが光っている。
そんなアイコン初めて見た。
間違いない。こんなアプリをDLした記憶は無い。App Storeの履歴を確認してみても…………あれ?DLしてるぞ。Skypeとバー経営アプリの間に鎮座している。
『Skull in Love』……?
ゲームアプリっぽいが。詳細が英文すぎて成る程わからん状態は続く。
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ここで何も考えず削除するのも手段の一つだが、せっかくなんで起動してみようと思う。もしこれが有料アプリだったりしたら、無料で手に入ったということでお得ではないか。
俄かに不気味なアイコンをタッチすると、おどろおどろしい背景画像の前に、血文字のようなフォントで『Skull in love』と書かれたトップ画面が現れた。メニューにあるのはstartとoptionのみ。ゲームアプリだろうか?
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もしかして。
頭をよぎるのは、バラエティ番組などでよく見る、「ゲームをしていたら、途中で耳をつんざく悲鳴をバックに、おどろおどろしい化け物の顔がアップで現れる」最近流行りのドッキリアプリ。
怖いものは苦手だが、好奇心は、この苦手意識に打ち勝った。
意を決し、「START」のボタンを押してみる。
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ん?、、、なんだカメラか。
黒い外面にうっすら白く光るもの。。ほぉー、レントゲンだな。これを使ってスカルを写すのか。
けどおかしいぜ、俺の部屋じゃ、何かが写って、なんだ今のは?かすかに動いた、まただ、足。足の骨。
スマホ画面と現実を見比べ、理解。
隣のおっさんだ。どれどれ頭はどこだ。あったあった、ちょいズームして、おーいこっち向いて。
カシャ。
「Please inject love.」
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injectってなんだっけ。いれる、とかそういうの? pleaseとloveは大体わかるけど。
愛をどうにかしろってこと?
英語のアプリはこれだから嫌なんだよな。百歩譲って中身がわからないのはいいが、チュートリアルやメッセージがわからないのは非常に困る。
おっさんのしゃれこうべが朧げに画面に映し出されている。
どうしたもんか。とりあえずタップ。すると、小さな赤いハートマークが表れた。
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画面の中央には大きく「Tap !」の文字が。
俺は言われるままにハートをタップしてみた。
すると、ハートは若干大きくなり、その下に「1%」と表示された。
あ〜、ハートを連打しろって事ね。
バシバシバシバシ…
89…90…91…ハートはかなり大きくなっている。
ん?ふと何か嫌な予感が…
数値が98%になったところで手が止まった。
これが100%になったらどうなるんだろう…?
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手を止めて、しばらく画面を見ているところ、「Tap!」の文字が脈を打つように大きくなったり小さくなったりして、それを要求してくる。
押さないままでいると、けたたましい音が鳴り始め、慌てて一度。
99%になった。
ハートは画面からはみ出さんばかりに大きくなっている。
「Tap!」
またか。
どうなるのかわからない。嫌な予感しかしない。
ええい!
Tap!
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100%♡Take my clothes off.
訳を考えていたら、
トントン…「隣りの者です」
げ!隣りのおっさん!覗いたの暴露た⁈
恐る恐るドアを開けると、
「愛をありがとう。全て脱ぎ捨てます」
そう言っておっさんは自分の顔に爪を立て、皮を剥ぎ、肉を裂き、ぼきりと頭蓋骨を差し出した。
思わず受取り鮮血に塗れた俺のスマホに浮かんだ文字は
Get the skull.
…GOOD JOB!
- 完 -
作品情報
骨まで愛して
#784
- リレー期間
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1年2ヶ月