「たっだいまーーー!!」 言いながら靴を脱ぐ。 今日は将と遊ぶ約束してんだ。急がなきゃ。 お気に入りの服に着替え終わると、お気に入りのシューズを取るために勢いよく下駄箱を開けた。 そこに、あいつはいた。 「やぁ、ぼく、パチえもん」 ……未来から来たらしい。
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僕は未来からきた猫型ロボット風猫だよ …!? なんだって? 猫…なのか?
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「そこんとこは雰囲気でよろしく☆」三毛猫風にペイント?されたロボット風猫は、よいしょと下駄箱から出ながら言った。 「家、間違ってない?」 「僕そういうの間に合ってるから」 関わりたくない僕は、玄関に座ってくつろごうとする「猫」を下駄箱に押し返しながら言った。 「失礼だなー、君はのび太君風なキャラで有名なけん太君だろう?」 誰が何処でそんな風に有名なんだ。まあ、ちょっといじられキャラだけど。
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その時、外から声がした。 「けん太ァ、野球しようぜ」 「あ、たかしとクネ夫だ」 僕が言うと、パチえもんは露骨に嫌な顔をした。 「そこさぁ、ジャイアンを文字った言い方にしろよ」 こいつうざい。 「けん太君。今日は僕もいるよ」 あ、やりすぎもいる。 「ブッ、できすぎ君もいんの?しかもやりすぎwww」 なんなんだ。こいつ最初こんなキャラじゃなかったハズ。 ていうか、今日は将と遊ぶ約束なのに。
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でも前にたかしとクネ夫からの誘いを断ったら、次の日にひどい目にあったんだよなぁ。 「うふふ〜。困ってるみたいだね〜けび太くん」 「誰がけび太くんだ」 「僕に任せてよ」 そう言うと猫型ロボットは鼻の中に自分の丸い手を無理やり突っ込み、何かを引き摺り出した。 「第三種擬似位相変換型収束波射出装置〜」 「まてお前はそれで何をするつもりだ」 「これで三人をグリュンと…」 「気持ち悪い擬音を使うんじゃない」
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なんて残虐な機械なんだ。 「ウフフ」 「怖えよ。なんだその純朴な笑みは。もっと平和的な解決策はないの?」 「ウフフ、あるよ」 「だったらそれ出せ」 猫型ロボットは口の中に手を突っ込んだ。 「ウフフ、バットとグローブ〜」 「野球させる気満々じゃねぇか。あと鼻とか口とか汚ねえんだよ。触りたくねぇよ。ポケットとかねぇのかよ」 「ウフフ、あるよ」 「あんのかよ」 今度は耳から 「ウフフ、二次元ポケット〜」
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もう駄目だ。僕はパチえもんをたかし、クネ夫、やりすぎに突き出した。 パチえもんは完全に戸惑っている。 現実と漫画は違うのだ。 実はたかしは女。本名は貴子だ。でも女扱いが嫌いで、「たかし」と呼ばせている。 そしてクネ夫の方がボスなのだ。しかも小学生にして筋肉ムキムキのマッチョ。 やりすぎは幼稚園児とのキャッチボールで本気になり、園児を泣かせた問題児。頭は良いが、前に毒薬を調合して怒られていた。
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「こいつ好きに使っていいよ」 「ん?何だこれ?」 「ちっせぇ猫だな」 「けん太君これ実験体に使ってもいい?」 クネ夫に捕まえられて、パチえもんはジタバタしてる。 「は、離せよぅ!折角ド○えもんキャラで人生が送れそうなのに!」 「何言ってるのお前」 「パチえもん!」 ⁉︎ こ、この声は…。 「将君!」 「けん太君来るの遅いから来てみたら…パチえもん!どこいたのずっと探してたんだよ?!」
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「将く〜ん‼︎」 パチえもんが将君に抱きつく。 きもっ… てか、将君の知り合い? 「この子、パチえもん。僕の、大事な、ただ一人の友達さ‼︎」 え…一人って、僕…は?僕友達じゃなかったの⁉︎ 「あー、けん太君はー、いじられキャラでかわいそうだからー」 ガーーーン 顔面蒼白、頭真っ白… いつの間にか、みんなはいなくなってました…。 これで、ドラ○もん風?物語は終わりです。
- 完 -