Girls and Cakes

ミルクレープ って知ってる?あれ、美味しいよね。私は好き。 んで、私の存在価値はミルクレープの3/8段目くらいのクレープ。 私がいないと、クリームクリームになっちゃうワケ。でもさ正直、ケーキはミルクレープ!って人は、あんまいないよね。笑 パッとしない集団の中で上でも下でもない役どころ。 食べながら、いつも思ってるんだよね~ 私の存在価値はミルクレープのクレープ。 あなたの存在価値は何?

Ein Schwur

13年前

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「ミルクレープ? なにそれ?」 一緒にケーキを食べていたマキが笑う。 「じゃ、私はショートケーキの、ベタっと塗ってあるクリームね」 彼女なら、ショートケーキの苺って言っても良いと思う。 マキは成績も良いし部活もレギュラーだし、クラスの誰とでも仲良くできる。なんていうか、華がある。 はあ……。 私はやっぱりミルクレープの3段目だ。 ケーキにフォークを突き刺しながら、私は小さく溜息をついた。

cloche

13年前

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「ケーキなら、どっしりずっしりガートーショコラに決まってんじゃーん!」 ショートカットに、チワワみたいな大きな目をくりくりさせながら、ナツキが言った。 ナツキはバスケ部のリーダー。運動バツグンなのに、男勝りで隠れファンが多い・・・。 ナツキなら、ガートーショコラでも、ペロリとイケる軽さの種類のヤツなんだろう。 はあ・・・・・・。。 私の三段目ポジションはやっぱり確実・・・。

mion

13年前

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「そう言えば私ミルクレープ食べたことないかも。クレープと何が違うの?」 悪意の無い、純粋そのものと言った笑顔で人を斬りつける天才、ユウカが、元から赤い唇をすぼめる。女子力なのか。それが、世に言う女子力なのか。 彼女が食べているのはカシスのムースをパッションフルーツソースが上品に彩った、これまた女子力を感じさせるケーキ。しかも何となく大人の艶っぽさもある。 クレープと比較されるミルクレープ……

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「クレープとミルクレープは全然違うでしょ!ミルクレープは間にクリームとか果物が入ってるやつ」 でしょ、とでも言いたげに私を見るアキラは、世にいうメガネ美人というやつだ。 成績バツグン、いつも天然なユウカのツッコミ役にまわってる。本人はいたってサバけているが、ファンが多いのもまた事実。 そんな彼女のケーキはモンブラン。 華やかながらさっぱり甘い。 ケーキって憎いくらい私たちを表してる。

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「まぁケーキの好みはそれぞれだし、知っても知らなくてもって感じー」 そう言ってフォークを弄びながら言ったのはリンだ。いつもやる気があるのかないのかよくわからないスタンスでいるのに、なぜか一目置かれている。迫力美人も手伝って、存在感はこの中でもピカイチだ。そんな彼女は…うん、タルトだな。実際目の前には鮮やかな季節のフルーツタルトがあるし。 見た目にも綺麗なそれらに比べて、ミルクレープといったら…

こてつ

13年前

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「うん。どのケーキが一番とか、華があるとか、考えてることはみんな違うもの」 落ち着いた口調で話しながら、ヒナは自分のケーキを見つめていた。 おとなしいけれど、自分の意見をきちんと言えるヒナ。やわらかそうな少し茶色がかった髪の毛が可愛らしいと思う。 彼女は正立したミルフィーユをしばらく見ていた後、フォークで器用に横に倒した。 「これでパイ生地が崩れずに食べれるの」 ヒナが私に向かって微笑む。

熊岡りり

13年前

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「ヒナってお嬢様っぽいよねー、食べ方すっごく綺麗!あたしもミルフィーユ食べたいケド食べにくいからさー」 あはは、と笑ってチーズケーキにフォークを差し込んだのはリサ。 「んーッ、チーズケーキ美味しっ」 幼く見えるが、これでも一応あだ名がブラッディ.リサ。理由は昔集団で男子に殴りかかられた時返り討ちにしたから。 「がさつよね、リサって。」 ユウカがぽつんと言う。 そうかなぁー?と笑うリサ。

rin@rinn

13年前

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「…ところで、サヤの食べてるミルクレープ美味しそうだね。ちょっとわけてっ!」 とマキが私に視線を向ける。 「私も食べたい」「私も!」 ナツキとユウカも続く 「私も食べたいなー」「じゃあ私も」 アキラとリンも食べたいらしい。 「私にも頂戴!」「私にもくれー」 ヒナとリサまでおねだりしてきた。 「…じゃ、一口ずつ交換ね」 賑やかな午後のケーキ屋さん。 私はみんなに囲まれて少し幸せを感じた。

minami

13年前

- 完 -