眠れぬ夜のシシャ

なんだこの 疲れて眠いのに、怖くて眠れない感じ。 すごく変な感じ。

12年前

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寝たらお化けが… ううんー違うな。 寝たら戻ってこれなく… これもなんか違う。 天井に女が… いない。 なんだろう… ハッ! お、おばあちゃん?

12年前

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あら、ひさしぶりぶり〜 元気だったかえ〜 …ひゃぁぁぁあああ!!!? ででで、でたぁぁぁあ!!! ばばばばあちゃんは もうこの世にはいない。 ななななんでだろ、その、あの 供養が足りてないのかな、 僕は布団の上にご丁寧に 座しているばあちゃんに 本当の理由をきいてみることにした。

12年前

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とりあえずここに座りなよ と、クッションを枕脇においた。 現実なのか、夢なのか... とにかくなんでばあちゃんがここにいるのかを知りたかった。 「ばあちゃん?どうして...」 言いかけた瞬間、ばあちゃんはふとうつむいた。 成仏できてないのか。 そう思ったのと同時に、ばあちゃんは顔をあげた。 「ごめんなぁ、びっくりするよなぁ...」 確かにその少しなまった、懐かしい声はばあちゃんだった。

momo

12年前

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「あんなぁ、ばあちゃんなぁ死んだんよぉ…」 (ん?何を言ってるんだ…?) 「ほんでなぁ、ずーっと真っ暗でなーんも見えんのよ…」 (それはいわゆる死後の世界というやつか…) 「でな、気付いたら生き返っとったんよ!もうばあちゃん嬉しくてなぁ。ほんであんたが元気しとるか気になって顔見に来たんよ」ばあちゃんはそう言って懐かしくてあったかい笑顔を見せてくれた。気づくと僕の頬には涙がつたっていた。

Daiju

11年前

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ぼたぼたと、流れ落ちる涙… 僕が泣くといつもばあちゃんは 優しく優しくその涙をふいてくれる ばあちゃんが、いつもみたいに 僕の頬に手を当てようと 「ばあ…ちゃん?」 なんでなんでなんで‼︎ ばあちゃんは、生き返ったのに‼︎ 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ ばあちゃんは、生き返ったんだ‼︎ もう、いなくならない なんでばあちゃんは、 僕に触れられない…? 「ねぇばあちゃんなんで?」 「それはなぁ

ゆき

11年前

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「…お前が死んどるのよぉ…」 「え…?」 僕が、死んでる? …そんなわけがない 「僕がいつ死んだって言うんだよ」 「今からじっぷんまえに…苦しい、寝れねぇいってなぁ…そのまんま逝ってしまった…」 そんな… 「せっかくばあちゃんに会えたのに…っ!」 頬をつたい、ポタポタと涙を落とす ばあちゃんは何回も手を伸ばして涙をふいてくれようとした でも無理だった 気づいたらばあちゃんも泣いていた

宇宙

10年前

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僕もおばあちゃんの涙を拭おうと試みた。 しかし、僕の手はおばあちゃんをすり抜けるばかりで、涙は拭えそうにない。 僕の涙は止まらない。 おばあちゃんの涙も止まらない。 大好きなおばあちゃんが目の前にいるのに。 近くて遠い曖昧なおばあちゃんとの心の距離にやるせない気持ちがこみ上げる。 流れる涙でかすむ視界の奥に見えたおばあちゃんを見ながら考えた。 ― なんで僕は死んだんだろう……。

REBECCA

9年前

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走馬灯が、僕の記憶をぼんやりと流し始める。 「…心筋梗塞だよ。ストレスとか暴飲暴食とか、心あたりないかぁ?」 おばあちゃんの言うとおりだった。 「もっと、自分の体を大切にしなきゃいけなかったんだ。おばあちゃん、ごめん。父さん、母さん……ごめん」 二人の間にこぼれた涙がふわふわ漂って幻想的だ。 おばあちゃんが、僕の手に触れた。 「…この命、お前が使いな」 今度は粗末にしない。絶対に。

すくな

9年前

- 完 -