主演女優はだれ
待ちに待った夏休みが
始まりました。
友達を捨てて一人を好む
寂しい女子高生の私は、
バイト三昧。
朝早起きして愛犬とラジオ体操。
バイトは夕方からだから
それまでひまなのでゲ○で
ホラー映画を借りまくる。
私はホラーがだいすき。
ゲ○で借りれるDVDも尽きた頃
私は暇で死にそうだった。
そんなときこの先
あんなことが起こるとは思わなかった。
- 1 -
いつものように見飽きたDVDを見ていると、突然場面が変わった。
どこかの森か林だった。小さな声で
「○○(私の名前)…。待ってる…」
という声が聞こえた。
「え!?」
慌ててDVDを巻き戻す。
あんな場面あったっけ!?
だけど、その場面は消えてしまっていた。
何度見てももうその場面は見られなかった。
「気のせいかな…? 気持ち悪いな」
DVDの続きを見る気にはなれなくて私はぶつぶつつぶやいた。
- 2 -
「でも、よくよく考えたらこんなことってありえないじゃん…怖いよ」
時は彼女を待たなかった。
停止していたはずのDVDが再生し始める。
場面はとある階段。
女子高生のスカートの中を盗撮しているかのようなカメラワーク。
もうこの時点で、私は確信する。
このスカートは私の学校。そして、この階段は私のマンション。
つまり、この映像は私を撮っていると。
「きゃぁああああああああああ」
- 3 -
だけど、彼女が階段を上がっていた時周りに人はいなかった。
だからこそ彼女は恐ろしくなった。
(何・・・これ・・・)
彼女はこの出来事をただのイタズラだと思うことにした。
だが、イタズラだとは思えない恐ろしい出来事が始まろうとしていた。
- 4 -
そんな気持ち悪い出来事があっても、バイトの時間はやってくる。
いつも通りにメイクして、ミニスカートでガールズバーに出勤だ。
「おっつかれさーん。今日も綺麗だね!」
私の目線に暑い胸板と柑橘類のいい匂いの店長が飛び込んで来た。
「お疲れ様です。店長毎日褒め方同じですよ~」
「っえ、素直な今の俺の気持ちなんだけど。いつも同じでごめんね!」
つまらないやりとりなのに、体温が急上昇するのがわかる。
- 5 -
「実はちょっと気持ち悪い出来事があって。」
家でのあの出来事を店長に話すと、
「マジで?ヤバイじゃんか、
あぶないから、帰りとか1人じゃ歩かない方がいいよ、」
珍しく、ちゃんと話を聞いてくれて、
なかなかいいとこあるんだ…
仕事が終り、帰ろうとするとさすがに
またあの事を思い出し、怖くなる。
とぼとぼ歩き始めると後ろから、
「お疲れさん、送ってやるよ」
と店長がやってきた、
マジ優しい…!
- 6 -
店長は私の歩幅に合わせてくれるようにゆっくり歩いている。優しい人なんだ、と安心感でいっぱいになった。
やがて私の家の前にーー。
私は振り返り、店長にお礼を言おうとした。
「ありが……、て、あれ? 店長いないし……」
帰ったのかな、と首をかしげながら玄関のドアを開けた。
そこには、私が過去に○オでレンタルしたDVD、それもホラー映画のみきっちり並べられていた。
「おかあさん?いない?」
- 7 -
店長は不思議なとこがある人だし、例えば超スピードで帰って行ったと言われても、納得してしまいそうだけど。
でも、お母さんは違う。いつも私がバイトから帰ってくるまで待っていてくれる。どこに行ってしまったんだろう…。
然し、私を更に戦慄させたのは、レンタルしたホラー映画が視聴した順番に並んでいることだった。
当然、バイトに行く前に見たあのDVDが一番端にある。
よく見てみると、タイトルが消えていた…。
- 8 -
「タイトルは消したよ。完結させるにはまだ早いと思って」
部屋の暗がりから声が聞こえる。
「いつでも君を見てたよ。DVDまで作ったんだ。でもね、まだ足りないシーンだらけだ」
興奮したようにうわずった声。ふと柑橘類と血の香りがし、私は気付いた。
「続きを撮ろう。これからずっと二人一緒だ」
店長が、赤黒く汚れた手を私に差し出す。
ああ、あれはお母さんの。
逃げなきゃ、逃げなきゃ、にげな…ーー
- 完 -
作品情報
主演女優はだれ
#505
- リレー期間
-
8ヶ月