私はあなたを傷つけたい

私は、いつか殺人鬼になるのではないかと、時々怖くなる。 私は、人が痛がる姿を見るのが大好きだ。堪らなく、興奮する。 それに、生理前になると、ちょっとしたことで他人に苛立ち、その人を傷めつける妄想を繰り広げる。 なに、笑ってんのよ。 うるさい、うるさい、うるさい。 こいつの、舌を切ってやろうか。 ほら、今日も始まった。 他人に芽生える、殺意と、興奮。

13年前

- 1 -

いっそのこと殺人鬼にでもなってしまえば、すぐに楽になれるんだろう。 だけど、そんなことは駄目に決まっている。 私には大切な人がいるから。 最初は苛立ちを感じた他人を傷付けるけど、いつかはその大切な人も傷付けてしまうんじゃないか。 想像するだけでもゾッとする。 だけど… それも、いいかもしれない……

se-shiro

13年前

- 2 -

だめ。だめよ 傷つけたらあの人は私から離れて行ってしまうかもしれない あれ、でも離れていったら大切な人じゃなくなるのかしら? 大切じゃない人は他人? そしたら簡単に傷つけることができる? 大切じゃないなら傷つけても私は罪悪感を感じない? あぁ、興奮してきた どうしようもなくあの人を傷つけたい でも、直ぐに傷つけるのはダメ ちゃんと順序を踏まなきゃ そうね、先ず手始めに…

ハイリ

13年前

- 3 -

足つぼを押してやってみた。 「指の付け根は肩こりに利くんだって。あ、ここは肝臓。お客さんストレスたまってんじゃないですか♡」 彼はのけぞって痛がった。 ジュルリ。 次はドライアイの彼のために目薬をさしてやる。 「ゴメン、いっぱい落としちゃった♡」 彼はのけぞって痛がった。 ジュルリ。 耳掻き、ジュルリ。爪切り、ジュルリ。 ♡ ♡♡♡♡ ♡♡ ♡♡ なんて献身的な私! さぁ、次は♡

aoto

13年前

- 4 -

さてさて。 今彼は熟睡中である。私の膝の上で、まるで甘える子供みたいに抱き付いて。 幸せそうな彼の寝顔とは裏腹に、私の頭の中は、痛がり悶え苦しむ彼の顔でいっぱいなのだ♡ 彼の鼻、そして口。 私は彼のそれを静かに塞ぐ。 「……んぐっ」 ほら、苦しいでしょ… 「……んぐっ、んぐっ!!!!」 私は手を離した。 彼はまた静かに寝息をたてはじめた。

BLANC

13年前

- 5 -

やだ♡ 起きないなんて! 鼻と口を塞がれれば大抵の人は目を覚ます。 すぐに気づかれたらつまらないもの。 彼はまだまだ夢の中を気持ちよく漂っているようで、「泳げるって…」とか言いつつ、未だに無防備な寝顔を晒している。 予想以上に好感触だわ。 やっぱり彼は最高♡ 「………ぐ、っ」 もう一度。彼の顔まで手を伸ばす。 「…………もっと…」

紅秋.

12年前

- 6 -

・・・そう、もっと。 傷めつけたい。 「…おはよ…」 「あら、おはよぅ。よく眠れた?」 「それが、なんか何度も同じシーンの夢見ちゃって…何度も溺れる夢」 「疲れてるのよ。今、朝ご飯の仕度するね」 つまらなくなった。 眠っている“この人”の反応は無防備過ぎて。前戯では快感なのに挿入された途端に冷めてしまう下手なSEXみたいだった。 やるなら…やっぱり ナマで痛がる姿が見たい。

真月乃

12年前

- 7 -

紡ぐ想いは歪んだ愛を創った。 新しく買い替えた携帯に送信ボタンを押した。見てくれてるかなぁ♡ @pm5:27:01 「誰から…?」 ふと台所にいるはずの彼女からメールがきた。 @pm5:27:43 「洒落たやつだな、おーい何てかい…」 ふとメール内容を見てみたが、あるのは一文下のサインばかり。 @pm5:28:10 はぁ、もっと…もっと、怖がって…@pm5:27:58 そして… 「##…

Air

12年前

- 8 -

あなたを…刺したい」 「えっ⁇一体何を言って…」 私は包丁を持って彼の前に現れた。 「ちょ、じょ、冗談だろ⁉」 そして、私は躊躇う事なく刃先を前に向け、彼の腹を刺した。 「ぐあーーーーーっ‼‼」 「おい、どうした?」 「あ、ううん、何でもない。夕飯できたよ」 私は、暫く妄想にふけっていたようだ。 でも…私は…彼を… 「ん?この魚、骨多いな〜。いてっ!喉に刺さった!」 ♡

hyper

12年前

- 完 -