Mone¥ Xma$ ---わたしのパパ♡はサンタさん

「クリスマスのプレゼント何がいい?」 「うーんとねぇ、ちーちゃんねぇ、えーっとね、えーっと……」 まだ四歳の娘はもじもじと体を揺らしながら上目遣いでパパを見る。 なんという天使!ぷっくりした頬は冷えたのか少し赤みがさして、今すぐ両手で包んでやりたい。きっとその頬は指が溶けてしまいそうなほど柔らかいのだ。 そして娘はその愛らしい唇で、躊躇いながらこう言った。 「げんきんがほしい!」 えっ

森野

13年前

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「げんきん?いや元気がほしいんだよね。 パパ、あせっちゃったよ。」 一瞬、可愛い娘からあり得ない言葉が聞こえたがまだ四歳だから滑舌悪いだけだよな。ふふふふふふふ。 だが、現実は甘くない。 「………ちがうよ。パパなんて嫌い。げんきんがほしいの」

hamadera

13年前

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「…あ、ああ!減菌だな!ちぃは風邪をひかない元気な子になりたいんだな!偉いぞ」 この子は強い子になるぞ。今から誇らしい。流石僕等の子だ。母さんも俺もこれといった大病を患ったことがないしな、うんうん。 しかし、やはり現実は甘くない。 「ちがうの!げんきんなの!」

ハイリ

13年前

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「……ハッハッハ!ごめんごめん、パパったら聞き間違えちゃったよ。ペンギンが欲しいのかい?でもね、ちぃ、ペンギンさんは寒いところにしか住めないんだよ?」 そうかそうか、ちぃはペンギンが好きなんだな。よし、来週末は動物園に連れて行ってあげよう。写真をたくさん撮って、アルバムを作って、大きくなったら一緒に見るんだ、ハハハハハ! しかし、どうにも現実は甘くないようだ。 「ちがうよぅ、げんきん!」

nonama

13年前

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「ヨゥゲンキン?アニメのキャラクターかな?ごめんな、パパ仕事が忙しくてテレビ見てないんだよ」 嘘だ。本当はママに頼んでちぃのお気に入り番組は仕事そっちのけで全チェック済みだ。最近『魔法少女ムニキュア!』というアニメが一番のお気に入りで主人公ハッピーちゃんの変身衣装が欲しいことも知っている。だから、ちぃの口からあんな言葉が出てくるはずがない。 だけど、現実、甘くナイ。 「げんきん、だもん」

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「げんきん、というとあれかな?ちぃはゲンキンな奴だなぁみたいなあれかな?」 最早ものじゃない気もするが、ちぃも少し大人になったってことかな。人と接する上で、ある程度の図太さが欲しいってことなんだろ。うーん、そればっかりはちぃ次第だからパパから与えてやることはできないなぁっはっはぁっ! 「もうパパいいかげんにしてよ!げんきんだよ!おかね!まねー!げんなまだよげんなま!」

やーやー

13年前

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「…あ、あ〜そっか〜。あの『こども銀行』って書いてある10万円札とかあるやつか〜」 そうだよな、ちぃはおままごととか買い物ごっことかしたい年頃だもんなぁ。無理にこじつけ無くても最初から解ってあげればよかったなぁハハハハ! でもやっぱり、1ミリも現実は甘くない。 「ちがうよ〜!『にほんぎんこうけん』とかいうおさつだよ!『1まんえん』ってかいてある、きものをきたおとこのひとのやつ!」

hyper

13年前

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そんなこと、もうわかってた。わかっていたんだよ──げんきん、ゲンキン、現金──金銭、お金、キャッシュ、現ナマ、金子、万券、山吹色。 もう逃げるのはよそうじゃないか。現実と向き合うんだ。 愛娘の肩を取り、その目をしかと見て、静かに語り始めた。 「──わかった、千鶴子はお金が欲しいんだな。でもひとつ、父さんに教えてくれないか。何か買いたいものがあるなら買ってあげるのに、どうしてお金が欲しいんだ」

saøto

13年前

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あの時…父に少しでも怒りがあったなら、今の私はここに居なかったでしょう。父の理解あるプレゼントの話しは、次の聖夜には日本中に広がり百万円となり、六年後には二千万、30年後の今年、世界中の方々の協力で150億円になりました。それでもまだ、世界には4歳のXmasを迎えられない子供がいます。チィパパ基金は子供達の未来の為にあります。さあ!父に続きサンタさんになるのはあなたです。 ☆Merry Xmas☆

真月乃

13年前

- 完 -