強く、立っていたい
スッと立つ一本の木でありたい
無駄な枝も葉もない
鳥も虫も拒まない
風が吹けばそれに揺れよう
雨が降ればそれに打たれよう
スッと立つ一本の木のようでありたいと思った
- 1 -
スッと立つ一本の信号機でありたい
無駄な機能はなにもない
人も車も(通行を)拒まない
古くなっても老朽化に耐えよう
ただひたすら青黄赤と点灯し続けよう
スッと立つ一本の信号機のようでありたいと思った
- 2 -
スッと立つ一本の雑草でありたい。
無駄な存在でしかないけど
コンクリートの隙間から顔を出す
誰かに踏まれたとしても強く
野ざらしでもたくましく
時には誰かにみつけてもらえる
スッと立つ一本の雑草でありたいと思った。
- 3 -
スッと立つ一軒の家でありたい
無駄な家具はなにもない
どんな人も拒まない
風が吹いたら動かず耐えよう
雨が降ったら腐らず耐えよう
スッと立つ一軒の家でありたいと思った
- 4 -
スッと立つ一人の人間でありたい
嘘を付かず
恋もせず
意味も無く正しく生きて
誰かに傷つけられ
このように見事に価値がない自分だけれど
スッと立つ一人の人間でありたいと思った
- 5 -
スッと立つ一本の電柱でありたい
誰にも褒められることはない
誰にも咎められることはない
ただ たくさんの人を線で繋ぎ
明かりを 微笑みを
決して絶やすことがないように
見知らぬ誰かのために
スッと立つ一本の電柱でありたいと思った
- 6 -
スッと立つ一台の机でありたい
無駄な飾りはない
何があっても拒まない
食事のときには暖かく見守り
勉強のときにはしっかりと支える
人に寄り添うことのできる
スッと立つ一台の机でありたいと思った
- 7 -
スッと立つ一体の風見鶏でありたい
熱帯の太陽に灼かれ
極寒の吹雪に耐える
風が吹けばそちらになびき
考えることなく回り続け
ただ己が役目を果たす
スッと立つ一体の風見鶏でありたい
- 8 -
スッと立つ一本の街灯でありたい
無駄な光は一筋もない
照らす人やものを選ばない
風が吹いても
雨が降っても
ただ闇を照らし続けよう
スッと立つ一本の街灯でありたいと思った
- 完 -
作品情報
強く、立っていたい
#9548
- リレー期間
-
5ヶ月