とある館のフーダニット

今日ある館で殺人が起きた 館の住人は殺された人合わせて5人だ 殺されたのは館の主 そう私だ 私はなぜ殺されたんだろう 妻か 浮気がばれてたのか まあ、それはないだろう なぜ殺されたか分からないと成仏できん 死んでいる私の右手には小型の銃が握られている 犯人は、私が自殺したと思わせたいらしい

gokigen3

12年前

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そんなこと、私がさせない。 と言っても私に何が出来る? 嘘みたいな話だけど、私はユウレイになってしまった。 いゃ〜私が一番信じていなかったのに… 自分がなってしまった… うーん…どうしよう… 「ククッ。」ん? 「これで、完成だ!」 んんっ? なぜ私の死体は宙に浮いている? ロープでの首吊り? 今時…そんなんで大丈夫か? なぜか、犯人のことが心配になった。

聖来

12年前

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銃を右手に持たせておいて、今更首吊りに変更か? では、この銃はなんなのだ? この犯人抜けているのか、真面目に馬鹿なのか少し笑える。死んでいるのに、私は内心笑った。 声からして、妻ではないようだ。第一、一人の女で私の死体を持ち上げること自体無理であろう。 とすると、友人Tであろうか? Tであれば、つい先日恨みを買った覚えがあるっけか? おいおい、手間かかり過ぎだ。 そんなんで自殺に見せられるとでも?

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部屋が妙に薄暗いので犯人の顔は見えない。ガサゴソと物音だけが響く。 これ以上は工夫の必要なしと見たか犯人は音を立てずに部屋から出て行った。私はこれ幸いとばかりに自身の体に戻る。が、当然生き返るわけもない。 せっかくだからユウレイでも何かできることがないかと色々やっている間に朝が来た。 いつものように女中がドアを開け、いつもと違う私を見て叫ぶ。予想はできたが、正直こんなに五月蝿いとは思わなかった。

nanome

11年前

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私の死体が発見されてから数時間後、私は刑事たちに囲まれていた。 「遺体はロープで首吊りか…ふむ、これは自殺だな」 私を見上げながらそう言う刑事につい突っ込んだ。 「いやいや、この持ってる銃見えない?変って思わない!?」 けれど当たり前にその声は届かない。どこまで間抜けの多い世の中なんだ。 が、その時刑事の背後から不敵な声が聞こえた。 「山根警部…大事な部分を見落としてますよ」 あれは…探偵か?

いのり

11年前

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「なんだね恭介君」 警部にそう呼ばれた探偵は歳の若い青年。線の細さは少年のようである。こんな奴が探偵か。見た目からの不安感は拭えない。 「被害者は右手に銃を持っています。首吊り自殺に銃は要りません」 お!こいつはまとも? 「首を吊りの途中で楽に死ねる銃殺に切り替えようとした線は?」 「警部、首を吊ってから冷静に自分の頭を撃ち抜くのは至難の技ですよ。それに……彼が違うと主張していますし」 ん?

ゆりあ

10年前

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お、おい、もしかしてこいつ、幽霊が見えるっていうよくあるパターンか⁉︎ 「ほら、ここに『吉川線』が出来ている。即ちこれは、首を絞められた時に抵抗した証拠!」 「た、確かに…」 「死体は必ず何かを語る!だから、ちゃんとそれに耳を傾けるべきです!」 …あ゛〜、びっくりした。 なんだよ、こいつまともな奴じゃねーか。 てか、絞殺だったか…。 だとしたら尚更、何でわざわざ銃を持たせる必要がある?

hyper

9年前

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「では、こういうのはどうですか? 実は死んでいるこの男性が誰かを殺そうとして銃持った。しかし、相手に隙を取られ首を絞められた。」 いやいやちょっと待てよ!銃持ってるのに隙を取られて首を絞められるってどんなマヌケだよ! ほら、なんか言ってやってよ刑事さん。 「それは素晴らしい推理だ!」 ええっ!? ウソだろ?! それってもしかして俺が悪いってことで一件落着になっちゃうの?! 「いや、それはどうかと」

あきら

9年前

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口を挟んだのは鑑識だった。 「この銃には弾が入っていません。これでは役には立たない」 なにぃ!? 「この男はそれを知らず、銃で応戦しようとして失敗し殺されたのでしょう。弾がないことを知らなかったということはこれは被害者の物ではない。調べれば別の人間の指紋が出るかも知れません」 うぉー!ナイス! 私、妻、T、女中、あと一人。 そういえば誰かに私の声を聞かれている気がする。おいお前!捜査に協力しろ!

まーの

8年前

- 完 -