世界には奇妙な出会いがたくさんある。 例えば異世界の喋る生き物との魔法少女の契約の出会いだったり。 例えば死神との代行アクションの出会いだったり。 例えば奇妙なスタンドを使う日本学生がエジプトで宿敵との出会いだったり。 そう。だからこれは正常なのだ。 東洋の神の使いでもある妖怪の九尾と 西洋でも名のあるモンスターの吸血鬼が 食を通じて友人になることくらい。

コノハ

11年前

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「おはようございます。我が胃袋の友、エド」 九尾ハンが分厚いカーテンをサッと開くと朝日が満遍なくエドに降りかかる。 「…それは俺が吸血鬼と知った上での嫌がらせか?」 「朝日を浴びると体内時計が整うのですよ」 「迷惑な奴だな」 「それはさておき…おはよう、エド☆」 爽やかな笑みを浮かべるハン。しかしこの笑顔に騙されてはいけない。 「お腹空いたー!」 こいつの所為で生活リズムは乱れまくりである。

ゆりあ

11年前

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「昨晩のうちに取った野菜と、塩漬けにした鹿の肉を煮込んだスープ。自家製の小麦粉で作ったパンは軽く焼いて、裏手に住んでいる山羊のお乳のチーズを乗せる」 「まあ! 朝から豪勢な食事ですね」 「健康のために野菜のフレッシュジュースもつけてーーー乾杯」 「乾杯」 静かな朝に、こつんとグラスのぶつかり合う音が鳴りわたる。人里離れた閑静な古城。湖と豊かな自然に囲まれたここは、なによりも食事に困らない

日笠彰

10年前

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