未完ノベル #41692

今日。卒業式のあとに、気持ちを伝えようと思っていた。迷惑だと思われても、断られても。中途半端なままの気持ちに区切りをつけたかった。

ぐずぐずとタイミングを図っている間に、彼はどんどん遠ざかっていく。ちょっと、待ってよ。

このまま校門を出てしまえば、きっともう会えないから。住むところも進学先も違う。今日が最後のチャンスなのに。

「…熱田くん!」
やっと声が出せた。彼が振り返る。

紬歌

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言葉に詰まる。
熱田くんは、しかめっ面で、ぽたぽたと大粒の涙を零れるままにしていた。ずずっと鼻をすすって、それからまた歩き出そうと前を向く。
「待って、あのさ!」
「なに」
ぐしぐしっと掌底で乱暴に涙を拭って、くぐもった鼻声を洩すのを聞いた。
熱田くん、そんなに卒業が淋しかったのか。それとももっと、別な理由?
「謝恩会、行く?」
もし来るなら、もう数時間、先延ばしにできる。
「さあ」
「そ、そう」

金春こんぺい燈

- 2 -

困った。
熱田くんは大泣きだし、来ると思っていた謝恩会の質問へはさぁ、との返答。
でも来てくれないと告白の機会がなくなる。けど今はちょっと言いづらい。

「そういえば、プレゼントあるんだって。きっと三木先生のことだか…」
「なぁ、それわざと?」

そういって熱田くんは振り返り、わたしをきっと睨んだ。

え、なんで? 驚きとショックからわたしはその場にうずくまり、泣き出してしまった。

お盆ちゅーる

- 3 -

「俺、お前のそういうとこ嫌いだ」
ボールになって俯いていたら、天から降り注ぐトドメの槍。私のHPは瀕死だ。

きっとそのまま放置で帰るんだろうと思っていたのに、意外にも熱田君は
「立てよ」
と手を差し伸べ引き上げてくれた。
「謝恩会行くんだろ?どんだけ泣き腫らして行くつもりだよ」
「な、泣かないもん!」
腫れぼったくなった自分の顔を想像して、思わずそう言い返す。
「なら良い」
…っ!何で笑うのよ。

“rapid”ゆりあ

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