落ちていく。
落ちていく
落ちていく
底の見えない空間を
落下していく
腕を伸ばしても
空を切るばかり
落ちていく
落ちていく
アリスよろしく落ちていく
一緒に落ちるマネキン達
飾り立てられた
マネキンは
片腕だけで傾いて
ぐらぐら揺れて
落ちてった
赤い首輪の
マネキンは
がんじがらめに
絡められ
足をもがれて
落ちてった
- 1 -
落ちていく
おちていく
そこしれない誰かの思惑にのせられ
陥ちていく
助けを求めようにも
誰の思惑にのせられたのか
わからない
疑心暗鬼
おちていく
おちていく
どうせなら、一人ではなく
誰かも巻き添えにしてやろうか
黒く汚れたこの心は
おちるに相応しいのかもしれない
だけど、一人はいやだ。
- 2 -
落ちて行く
堕ちて行く
見るのもの全てが仮面に見えて
信じられずに落ちて行く。
ふと気になって鏡を見ると
鏡の私も仮面を付けてる。
仮面の奥すら仮面に見えて
悲鳴をあげて堕ちて行く。
周りの仮面が壊れても
私の仮面は壊れない
落ちて行く
堕ちて行く
穴の中に光が差して
私の仮面が割れて行く。
私の体は地上に戻り
仮面だけが
落ちて行く
- 3 -
そしたらこんどは
わたしいがいがおちてく
わたしの想像できうる
すべてのものが
落ちてく
堕ちてく
おちてく
オチテク
わたしからどんどんはなれていく
ああ もうあんなとおくに
やめて
いかないで
おいてかないで
わたしをひとりにしないで
まって
- 4 -
堕ちていくのは簡単なのに
這い上がるのは難しい。
私以外が落ちてくのなら
再び私も堕ちていけ。
鈍い光は見えるけれど
底無し沼に囚われて
あぁ
落ちていく堕ちていくオチテイク
一人になるのは怖いから
周り総てをがらんじめ。
ほら、もう、平気ダ。
堕ちていけオチテイケ。
私と共に落ちていけ。
次に浮上する時あらば
皆と覚醒することを誓おう。
だから、
「サヨナラ」とは言わせない。
- 5 -
落ちていた
堕ちていた
みんな一緒におちていた
みんな仲良くおちていた
かわいいかわいいお人形さんも
お気に入りの玩具も
大好きなあの子も
みんなみんなおちていた
もう手を伸ばすのはやめようか
空を掴むばかりは面白くない
少し首を傾ければ
欲しいものはすぐそこに
これ以上何を望もうか
ああ、
みんなみんなおちてるわ
- 6 -
一体何処までおちるのかしら。
おちている感覚は確かにある。
みんな私と一緒におちている。
どこに向かっておちているの?
誰が私をおとしたの?
みんな、おちているの?
マネキンはおちている?
鏡はおちている?
仮面はおちている?
かわいい人形さんはおちている。
お気に入りの玩具もおちている。
大好きなあの子もおちている。
おちていないものって何だろう。
落としたくないものって何だろう。
- 7 -
堕ちていく
堕ちていく
心半ばに堕ちていく
気づけば空が遠くなる
あの青さが懐かしい
どれほど底まで堕ちただろう
どれほど底は遠いだろう
堕ちた先に見えるもの
有るはずないと知りながら
心の残滓がただ光る
淡い小さな光を放つ
闇よりまどろむ姿は愛おしく
もう一度
ただ
もう一度
地上の星など見てみたかった
- 8 -
落ちていく
ただ
落ちていく
闇をかける翼のように。
落ちていく
何処へ向かうのかも分からずに。
何が大切なのだろう。
記憶も同時に薄れてく。
自分の中の小さな光が消えかけた。
ハッとした。思い出す。
この胸のあたたかさ。
心だ。
光る。私の体が。
周りのものが。
世界が、光る。
もう一度。
もう一度。
青い空に、手をのばした。
- 完 -
作品情報
落ちていく。
#2298
- リレー期間
-
3ヶ月