落ちていく。

落ちていく 落ちていく 底の見えない空間を 落下していく 腕を伸ばしても 空を切るばかり 落ちていく 落ちていく アリスよろしく落ちていく 一緒に落ちるマネキン達 飾り立てられた マネキンは 片腕だけで傾いて ぐらぐら揺れて 落ちてった 赤い首輪の マネキンは がんじがらめに 絡められ 足をもがれて 落ちてった

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落ちていく おちていく そこしれない誰かの思惑にのせられ 陥ちていく 助けを求めようにも 誰の思惑にのせられたのか わからない 疑心暗鬼 おちていく おちていく どうせなら、一人ではなく 誰かも巻き添えにしてやろうか 黒く汚れたこの心は おちるに相応しいのかもしれない だけど、一人はいやだ。

13年前

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落ちて行く 堕ちて行く 見るのもの全てが仮面に見えて 信じられずに落ちて行く。 ふと気になって鏡を見ると 鏡の私も仮面を付けてる。 仮面の奥すら仮面に見えて 悲鳴をあげて堕ちて行く。 周りの仮面が壊れても 私の仮面は壊れない 落ちて行く 堕ちて行く 穴の中に光が差して 私の仮面が割れて行く。 私の体は地上に戻り 仮面だけが 落ちて行く

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そしたらこんどは わたしいがいがおちてく わたしの想像できうる すべてのものが 落ちてく 堕ちてく おちてく オチテク わたしからどんどんはなれていく ああ もうあんなとおくに やめて いかないで おいてかないで わたしをひとりにしないで まって

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堕ちていくのは簡単なのに 這い上がるのは難しい。 私以外が落ちてくのなら 再び私も堕ちていけ。 鈍い光は見えるけれど 底無し沼に囚われて あぁ 落ちていく堕ちていくオチテイク 一人になるのは怖いから 周り総てをがらんじめ。 ほら、もう、平気ダ。 堕ちていけオチテイケ。 私と共に落ちていけ。 次に浮上する時あらば 皆と覚醒することを誓おう。 だから、 「サヨナラ」とは言わせない。

blackcat

12年前

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落ちていた 堕ちていた みんな一緒におちていた みんな仲良くおちていた かわいいかわいいお人形さんも お気に入りの玩具も 大好きなあの子も みんなみんなおちていた もう手を伸ばすのはやめようか 空を掴むばかりは面白くない 少し首を傾ければ 欲しいものはすぐそこに これ以上何を望もうか ああ、 みんなみんなおちてるわ

aice

12年前

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一体何処までおちるのかしら。 おちている感覚は確かにある。 みんな私と一緒におちている。 どこに向かっておちているの? 誰が私をおとしたの? みんな、おちているの? マネキンはおちている? 鏡はおちている? 仮面はおちている? かわいい人形さんはおちている。 お気に入りの玩具もおちている。 大好きなあの子もおちている。 おちていないものって何だろう。 落としたくないものって何だろう。

12年前

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堕ちていく 堕ちていく 心半ばに堕ちていく 気づけば空が遠くなる あの青さが懐かしい どれほど底まで堕ちただろう どれほど底は遠いだろう 堕ちた先に見えるもの 有るはずないと知りながら 心の残滓がただ光る 淡い小さな光を放つ 闇よりまどろむ姿は愛おしく もう一度 ただ もう一度 地上の星など見てみたかった

aoto

12年前

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落ちていく ただ 落ちていく 闇をかける翼のように。 落ちていく 何処へ向かうのかも分からずに。 何が大切なのだろう。 記憶も同時に薄れてく。 自分の中の小さな光が消えかけた。 ハッとした。思い出す。 この胸のあたたかさ。 心だ。 光る。私の体が。 周りのものが。 世界が、光る。 もう一度。 もう一度。 青い空に、手をのばした。

あやぽん

12年前

- 完 -