狂愛

優汰先輩…。

私は絶対誰よりも先輩の事が大好きです。

まだあどけなさが残ってた、ちょっぴりダサかった頃の先輩も、大人っぽくなってかっこよくなった先輩も。

今は先輩、かっこよくなってモテモテじゃん。笑
昔からは想像できないよ

私はみんなが先輩の事好きになるずっとずっとずーっと前から大好きだったんだよ?

優saku

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留守電を聞いて優汰はぞっとした。
「誰だこいつ…」
声に聞き覚えはなかった。それに、こんなストーカーまがいのことをする友達なんていないはず。

「…掛け直してみるか」
気持ち悪いことこの上なかったが、優汰はこういうのをほっとけない性格だった。

「…もしもし」
相手はすぐに電話に出た。留守電と同じ、こもった女の声。

「お前誰だよ」
動揺を悟られないように、優汰は少し強めの口調で切り出した。

こぼね

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「何とぼけてるの先輩?私は私だよ?」

声の質で分かる。遠く離れた何処かから、見えない自分を一心に見つめている様が電話線越しに伝わってる。なんだか首筋に粘っこい汗が吹き出してきた。
だが、負けてはいられない。変化球で勝負だ。
「あ〜、はいはい!君ね。えーと確か、高2になった時の自己紹介で、『私の好きな食べ物は、いなり寿司です』って言い放って男子の爆笑を誘ったっていう、シヅ江ちゃんでしょ?」

ヤトリ

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「…違います」
女の声には涙がにじんでいた。

「覚えてない…の…?」
そんな悲しそうな声で言われたら、覚えてないのがかわいそうになってきた。

「ごめんね、えっと…名前教えてくれる?」
優汰はなんとか思い出そうと必死だった。

「高校で同じ部活だった…」
女が名乗った。

- 4 -

「山岸理香…です」
彼女はそう答えた。

山岸理香?そんな名前聞いたことがない。
全く記憶にない。

何て言おう。本当の事を言うべきなのか?
何て返せばいいんだ?
でも彼女が嘘をついている可能性もなくはない。だって全く記憶にないんだから。いくら俺でも部活仲間の名前は忘れない。

「ごめん、記憶にない。」
ハッキリと彼女に言った。
すると
「ふふまだ記憶思い出せないんだ?ふふふうふふふ

夢亞☃

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彼女の態度が一変した。

なんだこいつ、まじで気持ち悪い。
泣きそうな声の後には笑い声かよ。

鳥肌がたった。

「記憶にないね。」
動揺を悟られまいと思わず姿勢を正した。
「迷惑だからこういう電話しないでくれ。それを言おうと思って連絡しただけだから。」

じゃ。といって電話を一方的に切ろうとした、その時に彼女は言った。

Ami

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「5月29日」
それを聞いた途端に俺は凍りつく。その日は、彼女の死んだ日だ。確か名前は……そうだ───
「神崎奏……」
俺は呟いていた。誰にも聞こえないほど小さな声で。しかし電話ならば、その声ははっきり聞こえてしまう。
「うふふふ、やっと思い出してくれた。覚えていてくれたんですね、優太先輩」
ねっとりとした声が電話から聞こえてくる。確かに声も神崎のものだ。だけど神崎はもう、死んだんじゃないのか?

カサヤ

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死んだ人間が電話をかけられるはずがない。神崎の身内?友達か?誰だ?

いや、誰だろうとこの電話の向こうにいるのは『神崎奏』だ。

神崎の名前と一緒に思い出したことがある。
「あの日手紙、くれたな」
同じ日、神崎は事故で死んだ。自殺の線もあるらしいと聞いて、なんか怖くて手紙はどこかにしまいこんだままだった。

「先輩、私を覚えていて」
電話の向こうの声が震えていた。

「結婚しても、私を忘れないで」

ハルノテル

- 8 -

そこで、電話は切れた。

気づけば、俺は何かに取り憑かれたように手紙を探し出していた。

見てはいけない、
しかし、見なければならない。
そんな脅迫観念に襲われながら、恐る恐る手紙を開いた。

そこには、たった1行だけ綴られていた。

「これで優汰先輩にずっと覚えてもらえる。」

手紙は俺の手をすり抜けて床に落ちていった。

yuni

- 完 -

作品情報

狂愛

#10658

リレー期間

2年