DEAD END -2-

DEAD END -2- noveゾンビ・ストーリー、続編です。 9パラ執筆者の方は、タイトルに『DEAD END -2-』と付けて下さい。 前作は僕の執筆リストから検索を。 ---------- 「ちょっと……これ、何よ」 アウディの助手席に座るナオが、信じられないといったふうに呟く。 車の前方を凝視する彼女の視線は、フェンスのようなバリケードで塞がれた、高速道路の入り口に向けられていた。

kyo

12年前

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「クソッ、行き止まりか!」 タカシは両手でハンドルを叩き悪態をついた。と同時にバリケードの陰から複数の人影が現れる。ヘッドライトはその正体を明らかにした。 「見て、アーミーよ。銃を持ってる」 防護服に身を包んだ彼らは横隊を組み自動小銃を構えた。 (エンジンは切るな) タカシに伝え俺は車を降りる。フラッシュライトの光を両手を掲げて遮りながら、大声で叫んだ。 「撃つなッ。俺達はその……生きている!」

saøto

12年前

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『10秒内に車から降り、手を頭の後ろにしその場に伏せろ』 拡声器の声が響いた。 「待ってくれ!奴らを倒す方法を発見したんだ!上官に伝えてくれ」俺は叫んだ。 だがカウントは止まらない。 ガチャ…その音に振り返るとナオが車から降り掛けていた。 『…6、5、』 俺は再びアーミーを見た。ヤバイ!本気で撃つつもりだ。 「二人とも乗れ!」タカシの声で車に飛び乗ると 『D検体を逃がすな!』と拡声器が吠えた。

真月乃

12年前

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タカシは慌ててアクセルを踏み込んだ、しかし 「あれ?なんでだよ!車が全然動かねぇよ!」 「しっかりしなさいよタカシ!奴らこっちに向かってきてるわよ!」 「何で動かなくなんだよこんな時に!動いてくれ!」 一歩、また一歩、アーミー達はそんな彼らへ容赦無く近づいてくる フロントガラス越しに映る彼らの姿を現実逃避するかのように足元へ目を移した時 タカシは絶句した 「まさか俺・・・ブレーキを踏んでたのか」

noname

12年前

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「こんな時にボケかましているんじゃねぇよ!」 「ごめん。パニックになってさ」 タカシは笑う余裕もなく、アクセルを踏み込んだ。 「D検体って何かしら?」 車が走り出して落ち着きを取り戻したナオが尋ねる。 「検体って響きはあまり気持ちのいいものじゃないよな」 「分かったことは一つ。この事件にはもっと深い闇があるということだ」 「Dが気になるわね」 「とにかく、アーミーたちに捕まるわけにもいかない」

aoto

11年前

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無茶でもアーミーから逃れなきゃいけない。彼らは感染していない。でも、証明することはとさできない。検体として何をされるかもわからない。 「無謀だけど引き返すしかないよ」 ナオは諦め半分のようだ。戻れば奴らの餌食になる。なら、アーミーに捕獲された方が。 そう彼らは試行錯誤していると、タカシはアーミーに向かって突っ込んで行った。 「少なくとも今はこれがベターだ。奴らの弱点を信じてくれるか、これは賭けだ」

11年前

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「なぜこうして捕まっているのか、わかるかね」 瞬く間に制圧された俺たちは、後ろ手に縛られ、椅子に座らされていた。 「いえ……」 ふんと鼻を鳴らし、研究者と思しき男は俺たちを睨めつける。 「睡眠時間の減少、筋力の増加、そして思考能力の低下。これらに少なからず、自覚はあるだろう」 確かに、思い当たる節はいくつもあった。 「君たちは、我々の間でD検体と呼ばれている。DはdeadのD。人類最後の希望だ」

Fumi

11年前

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deadのD? 「そう、検査の結果D判定が出た。そこから血清を作る。襲われても屍人にならない様にな」 「何言ってる!そりゃ俺達は西地区から逃げてきたけど、屍人なんかにな!タカシ…タカシ?」 「……」 「違うもん!タカシが襲われそうになった時、洗剤投げたも!そしたら彼奴ら溶けて…」 それを聞いたアーミーがナオに近づき、 「洗剤?それがどーした」 ナオが答えようとすると同時にタカシが震えだした。

blue

9年前

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震えだしたタカシは屍人になっていた。 拘束具や椅子を壊して暴れだす。 ナオと共に「洗剤を〜!」と叫ぶのが拘束されている身には精一杯出来る事だった。 拘束具と繋がれている椅子を動かしながら逃げる。 「俺達から取り上げた洗剤を屍人にかけてくれ〜! 溶けるのを見たんだ〜!」 俺達の叫びに応えてくれたアーミーがいたようだ。 アーミーの怒声や銃声の中、屍人が溶けていくのを見つめながら謎の深さに戦慄した。

- 完 -