密告者

「知ってる?サトリ様の噂」 「知ってる知ってる!彩花の机に手紙入ってたんだって」 「怖いよね。何で秘密にしてることバレるんだろ」 サトリ様 秘密やその日の行動などが書かれた手紙が翌日机にそっと置かれるという。 妖怪やら神様やら色々言われてるが実は僕がそのサトリ様だったりする。 クラスでもぼっちな僕は暇を持て余してあちこち徘徊してる内に情報が勝手に集まって来る。こんな楽しいことが他にはない。ふふっ。

あいく

13年前

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今日も、書く。 あいつの秘密を。 ハラオカ ナミ 、 私は君の秘密を知っている。 君は、いつも、"社会人の彼氏との惚気話"を話しているけれど、君には本当は"社会人の彼氏"なんて存在しないんだ。君は自分の頭の中で創り上げたんだ。"社会人の彼氏"を。 私は君の秘密を知っている。 だから君にも、教えてあげよう。 サクライ ハナは、風俗店で働いている。 彼女の秘密をどうするかは、君次第だ。

13年前

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「ナミ、おはよ~!サトリ様の手紙、どうだった?!」 「は、ハナ・・・おはよう。き、昨日の事なのによく知ってるね」 ハラオカナミは予想以上に焦った表情を見せている。親友のサクライハナの秘密は、彼女にとって衝撃が大きかったのかもしれない。親友に隠し事をされていたということは、思春期の女にはショックだろうからね。 この僕ごときの手で、二人の運命を変えることも出来るんだ。 さあ、どうしようか。ふふっ。

aegis

13年前

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「は、ハナ…。ハナ、どこでバイトしてるんだっけ?」 「えっ…?…もしかして。」 ハナの顔が青ざめる。 「風俗…??じゃ、ない、よね?」 ナミが小声で言った。 「ナミ!お願い!ゆわないで!?」 「ごめん。なんで私に隠し事してたの。 ちょっと、ショックだよ。 なんでも言い合える仲だと思ってたのに。」 その瞬間ハナは笑みが消えた。 「笑わせないでよ。ナミ、 私に嘘ついてるくせに。」

安田

13年前

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愉快だ。 これで彼女達の友情も破綻したも同然。 さて、次は マツモト ケイコ 私は君の秘密も知っている。 テストでは、常に学年のトップクラスを維持している秀才だが、実はカンニングの常連である人物である。 アイザワ リョウ サッカー部の主将にしてエースストライカー。だが、最近万引きしているという。 この二人はクラスで有名なカップルだ。こんな秘密バラしたらどうなる事やら…。 ククク…。

Dr.K

13年前

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僕はまた同じような手紙を二人の机に入れた。 奴らは、毎日、飽きもせず休み時間も昼休みも一緒に喋ったりしていたが、僕が手紙を奴らの机にいれた日を境に教室で一緒にいることが無くなり、数日後には奴らが別れた噂が流れた。 どうやら、アイザワ リョウは浮気もしていたらしく、彼女にサトリ様メールで話し合いになった時に、浮気がばれたと勘違いしたらしい。 そして、別れ話まで発展。 愉快、愉快...

T_Y

12年前

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さて、次のターゲットは… サカモト ミク クラスのマドンナ的存在。しかし彼女が交際しているのは中林教頭。ふたりは不倫関係で、いつも使われていない理科準備室で逢瀬を重ねている。 ヤマモト アキラ メンズ雑誌のモデルをしているチャラチャラした男。実は繰り返し整形をした造られたイケメンなのだ。 今度はこのふたりのどちらかにしようかと考えていると、僕の机の中に見知らぬ手紙が入っていた。

なつ

12年前

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サトリ様へ 私はあなたの正体を知っています。 あなたはキクチコウヘイ。 あなたは今までサトリ様となっていろいろな人を不幸にしてきた。 そしてまた今日も新たな人をターゲットとしている。 ただ私はサトリ様の正体を知っている。 この情報を生かすも殺すもあなた次第。 さぁ、私のいう通りにしなさい。 今夜鬼山公園に来い。 僕は2人の机にいれるつもりだった手紙を置き去りにし、慌てて教室を飛び出した。

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公園に着いたはいいが、それらしき人影は見当たらない。 くそ、何処にいる。僕の秘密を暴いた奴は。 「うふふ、私が提供し続けた情報は役に立ててた?」 突如背後から聞こえた声。振り返る。その時、頭に激痛が走った。 薄れゆく視界の中の少女は、恍惚とした表情で僕の血を掬った。 「愛しきサトリ様。私が作った偽物を楽しむ可愛らしい人。これからは私がずっと側にいるわ」 ──さあ、運命を握られていたのは誰?

12年前

- 完 -