羊が一匹・・・ 羊が二匹・・・ 羊が三匹・・・

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私はまた、羊を数えはじめた。 なぜか48まで数えると、そのあとの数がわからなくなるのだ。かと言って、羊を数えるよりほか眠る方法も思いつかなかった。 ……羊が45匹 羊が46匹 羊が47匹 羊が48匹……あれ？ まただ。もう5回目。眠気が吹っ飛んだ。 私は眠るのをあきらめて、この謎を解明することにした。

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もしかすると、羊で数えるとわからなくなるのだろうか。 普通に数を… 45 46 47 48 … 50 51。 ん？なんだ？先の数、ちゃんと数えられるじゃないか。 48の次は… ハァハァ…ハァ…急に動悸がしてきた。 違う！48の次は50じゃない！ 抜けてる…何か数が足り無い。 その足り無い数がどうしても思い出せない！ まるで48と50の間の羊が何処かに行方不明になったようだ。 捜し出さねば！

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柵を飛び越え、揚々と牧草を食べる羊に駆け寄る。耳には黄色のタグが付けられており、27と書かれていた。 違う...。この子じゃない！ 私は牧場を駆け回り、一匹一匹タグの番号を確かめた。 だがどの羊もピンと来ない。 何がどうピンと来ないかもわからない。 私は何を捜しているのだろう。 数え方を変えて、再び羊を数える。 47番目の羊 48番目の羊 ... 50番目の羊 ──やっぱりおかしい！

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その時。 牧草地の端の方、ポツンと、羊が二匹だけで寄り添っているのが目を引いた。 走っていって、念のため耳のタグを確認する。さっき確認したような気もするが、見落としていたのだろうか？ 「あれ⁈」 耳のタグは、7。 何と、もう一匹も、7。 慌てて、羊を数え直す。 そして、48と50の間はやはり見つからない。 「7だけが、2匹…？」 しかも、この二匹、よく似ている。 似過ぎていないか。

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なな♪　めええ♪ なな♪　めええ♪ いちにもどって かぞえてよ♪ ななをいっぱい かぞえてよ♪ いつの間にか７の羊は３匹に増え、おかしな歌を歌いながら踊り始めた。 私が目を大きく開いて見つめれば見つめるほど、羊たちは喜び狂うようだった。 おきたね　おきた♪ いちからかぞえて ななまできてよ♪ 激しく踊り跳ねているうちに、一匹の毛皮がずるりと落ちた。 正体を晒したそれと私は同時に悲鳴を上げた。

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目が覚めた。私の悲鳴に驚いたのか横で寝ていたはずの猫がベットから飛び降りていた。 一体あれはなんだったのか、毛皮の中身が思い出せない。 ふとさっきの羊の歌を思い出した。 〜いちにもどってかぞえてよ〜ななをいっぱいかぞえてよ〜 私はかぞえた。 いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、しち？ しちしち？ あと少しで出てきそうだがなかなか出てこない。 私は考えた。そしていつの間にかまた眠りに落ちた。

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あれ？ もどってきためええ またきためええ 本当だ。 また私は来てしまったようだ。 また羊が歌い出す。 いちにもどってかぞえてよ♪ ななをいっぱいかぞえてよ♪ 先ほど数えたはずの羊も一緒に歌い出す。 いや、3、16、27番・・・数えた全ての羊が7のダクになっていた。 7番の羊達が集まり歌い出す。 なな♪ めええ♪ なな♪ めええ♪ いちにもどってかぞえてよ♪ ななをいっぱいかぞえてよ♪

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いちにもどって？ななをかぞえる？ 7の羊は困った私のことなど気にかけず、悠々と歌っている。 二匹いた… 7+7 いや、ちがうか。14は数えたもんな… 7匹に殖えたんだ… 7+7+7+7+7+7+7 7が七つか、いや、「しち」が「しち」ある？ しちしち… 嗚呼！7×7ということか あの暗示は、7を「2」回掛けろか！ 7の2乗だから、49なんだ。 48⇒「49」⇒50と…

- 完 -