連絡事項

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リリーン!

電話が鳴った。

noppo

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出なければ!と思った次の瞬間、違和感を覚える。

リリーン?

聞き慣れない着信音だ。

よく見ると、そこには時代遅れの黒塗り電話があった。

nonko

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オフィスにはまだ誰も出社していない。
それにしてもパソコンやタブレットが並ぶこの部屋に、黒電話とは奇妙じゃないか。

リリーン!

わかったわかった。考えこんでる暇は無いようだ。

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「はい、山田デザイン事務所です」

「佐藤だが、にぎり特上15人前を11時までによろしく」ガチャン

え?うちはデザイン事務所だぞ。

パーティーでもするのかな?この時期だから合格祝いかな?俺には関係ないよな。間違える方が悪いんだ。俺はいつものようにメールのチェックを始めた。

そわそわする。もし寿司が届かなかったらパーティーは台無しだ。俺もお人好しだな。この電話の最後の着信を調べればわかるはず

didi

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俺は着信履歴を調べようと電話に手を伸ばし、そこでようやく気がついた。

ああ、これは黒電話だ。着信の記録なんて残っているわけがない。

メインデイッシュの無いパーティー。腹を減らしたゲストが自宅に15人。もしホストが自分だったら‥考えたくもない!

リリーン!
そのとき電話が鳴った。

tati

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さっきの人だ!とっさに電話を取った。

「もしもし、3丁目の須山ですけど、車を1台回して下さる?病院に行きたいの。よろしくね」ガチャン

今度は女性からの電話だった。
車?病院??タクシーに電話をしたのだろうか。うちはデザイン事務所だ。。

ふと、体調が悪化して苦しむ女性の姿が頭に浮かんできた。
「いかんいかん、なんで俺が悩まなくちゃいけないんだ」

リリーン!
また電話か!音が鳴った方を見た。

tetch

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「はい、山田デザイ…」

「いまテレビでやってる掃除機セット注文するわ。いまならもう一つついてくるんでしょう?よろしくね」ツーツーツー。

いったいどうなっているんだ。電話回線が混線してるようだ。

このままだと、我がデザイン事務所への依頼がどんどん増えてしまう。寿司を握って、ハイヤーを手配して、掃除機を配送して。もうこれ以上はごめんだ!

tiptap3

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俺はコードを抜いてやろうと電話機を調べたが、この時代のものは抜き差しできるつくりにはなっていない。

それなら壁のジャックだと、黒いコードをたどっていった。どうやら隣の部屋まで続いている。

coco

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隣の部屋のドアを開けると、中は真っ暗。一歩足を踏み出すと突然電気がついた。

「サプラーイズ!」

会社の全員が寿司を前に並んでいた。

「米国でのコンペ、君のデザインが採用されたぞ!夜中に向こうから連絡があって、急いでみんなを招集したんだ」

社長が言うとチームの皆も口々に言った。

「今日は寿司でお祝いだ」
「あなたのあの自動車のデザインが認められたのよ」
「今期のボーナスは二倍にしてやるぞ」

rain-drops

- 完 -

作品情報

連絡事項

#33

リレー期間

1ヶ月