人生の軌跡
前だけを向いて
今日も、歩く
下は絶対向かない
だって、前が見えないから
上は絶対向かない
あの歌のように
涙を誤魔化すなんて
嫌だから
それと、
なく必要もないから
- 1 -
悲しいことなんてない
ただひたすらに、歩く
前に何があるのか?
分からない
それでも、私は前を向く
後ろは振り返らない
過去に縛られたくないから
未来を夢見て、
私は歩く
- 2 -
でも、立ち止まった
あえて歩みを止めた
そして
恐る恐る振り返ってみた
私の歩んだ軌跡を確かめたくて
後ろを振り返らない人はやっぱりいないから
この道で良かったと確かめたくて
- 3 -
振り返った時に見えた景色は、
綺麗なような、汚れているような。
そんな矛盾したもので。
まっすぐとした道も、
曲がりくねった道も、
どんな形の道だって、
間違いなく私が歩んだ道。
否定はしない。
過去を否定することは、
今をも否定することだから。
そう、私はちゃんと立ってる。
まっすぐ、凛として。
また、前を向いて歩き出そう。
そうして私はまた、
前を向いた。
- 4 -
歩いていると突然道が途切れた。
でも、その先にはまた、道が続いている。
私は、その途切れた所を覗いて見た。
真っ暗闇で底なんか見えない。
どうしょうか...
顔を上げると、貴方が居た。そして私を抱き上げ、その先の道へと、跳び越えてくれた。
「これからは、二人で歩こう」と、
貴方は言った。
そして、二人で前を向き、また歩き出した。
- 5 -
2人は前を向いて歩いていく
でも、時々は立ち止まる
お互いの存在を確認するために
顔を見合わせニッコリ笑ってまた歩き始める
しばらくすると2人の歩みは突然遅くなった
ゆっくりゆっくり
小さな宝物に歩幅を合わせて
2人は宝物のうしろを歩く
宝物が前だけ向いていられるように
もし
後ろを向いてしまっても
そっと
手をさしのべられるように
- 6 -
宝物…彼は立派になった。二人に助けられる事も少なくなった。
歩みは早くまっすぐ前に。
代わりに二人は少しずつ歩みがゆっくりになった。背骨も何だか曲がってきた。
彼は最初はドンドン先に進んでいった。
だけど、途中で後ろを振り返って二人をみる。そして、今度はゆっくり歩む。
二人の手を大事そうに握ってゆっくり。でも確実に。前に向かって。
- 7 -
もう私たちの手助けを必要としなくなった、立派になった、大切な宝物。
次はその逆で。
今は、私たちを助けてくれる。
その宝物は新たな"宝物"を授けてくれる。
宝物たちを、いつまでも後ろから見守る。
それが、私たちにとっての1番の幸せ。
私とあなたと愛しい宝物たちと。
手を取り合って、いつまでも。
前を向いて、すすめ。
進め。
- 8 -
気がつくとあなたはすっと前に出ていた
追いかけようとすると、あなたはそっと振り向いて
先にいくからと手をふった
私の頬を伝った雫があなたの背中を撫でる
すると無数の雫があなたを包んだ
あなたは暖かいひかりにつつまれながら
空に向かってゆっくりとひかりの翼を広げた
私には愛しているひとがいる宝物そしてあなただ
あなたを見送ってもあなたを愛し続けるし
歩きつづける
- 完 -
作品情報
人生の軌跡
#2544
- リレー期間
-
8ヶ月