畳の上にごろおんと寝転がってごらん。 気持ち良いよ。
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すぅーっと息を吸う。 い草のいい香りが鼻を通って体の中へ入ってきた。 んーっ!! 思わず伸びをしていた。
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そのまま仰向けで ズリズリっと窓の方まで行くと わぁ~、青空が広がってる。 何となく上下が逆さまに見えて、 楽しい。 今日の雲の流れは ゆっくり ゆったり ぁ… うさぎみたいな雲、 み~つけたっ。
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なんとなぁく 手のひらを畳の目に沿って さわさわ動かしながら ふわぁ〜 うさぎ雲はちぎれて またつながって ボクは眠くなる。
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毛布を持ってこよう。 ふぁ〜ねむい。 いつものように身体を包む。 毛布についてるタグをさわりながらウトウトするのがすごい落ちつく… 遠くのほうで子供の声 バスの音 園児のお迎えかな
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夢の王国いい気持ち。 夢国のスイカはちょっと偉そう。 雲はやんわり進んでる。 風も穏やか 陽だまりはとても煌びやかで眩しい。 意識が、 朦朧と してきた
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ん? 人の声がする お客さんかな… ちょっといまうたた寝してて 手が離せないんですよすいませーん と夢うつつでテレパシーを送ってみた お客さんはまだ呼んでる テレパシーしっぱい 呼び鈴なんかつけなきゃよかった えへへ すいませんねぇ 畳に触れるとすぐこれだもの これじゃあ 畳屋失格ですよね…
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い草の香りに包まれて ぼんやり雲を眺めるの最高! お気に入りの毛布にくるまって ポカポカな陽だまりで微睡むの最高! 夢と現の狭間を行ったり来たり 睡魔と戦いながらも、心のどこがで無条件降伏している自分が好き。 でも、こんな畳屋じゃあ儲からない 分かっちゃいるけど止められない… ん? んんん⁉ …いいコト思いついちゃった!
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畳を公園に持って行こう! んしょ、んしょ…結構重たい。 ふう、ようやく何枚か敷けた。 ここで寝ていれば…ほら来た。 どうぞどうぞ、よかったら一緒に。 え?いくらかって? う〜ん、考えてなかった…。 う〜ん… だんだん意識が飛んできた… 今日はいいです…どうぞどうぞ… これじゃあやっぱり儲からない… でも… やっぱり… 気持ちいい…
- 完 -