アナタヘ

ある日、私の元に届いた知らないアドレスからの不審なメール。 「待ッテル」 たった一言、それだけ。 でも私に心当たりは、ない。

Iku

13年前

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だから、僕はこう返信したんだ 「待ってない」 自分で書いてて笑った さぁ、どんな返信がくるのか楽しみだ お、返信が来た 「なんでそんなこというの?」 面白い 誰だか知らないが続けてみよう

らふぁ

13年前

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「待ってないからだ」 そう送るとすぐに返信がきた 「待っててよ、私すぐ行くから」 行く…? 僕のところに? なんか、怖くなってきたぞ 「来なくていい、場所わかるのか?」 そもそも誰かもわからない 僕の心に誰なのか気になるという気持ちが湧いてきているのを感じた このメール相手に興味を持ち始めた

らんき

13年前

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「ワカル すぐソコに イル 」 僕は思わず窓のカーテンを開け、外を見渡した。 細い路地に薄暗い蛍光灯がチカチカと消えては点き消えては点きを繰り返している。 はは…何を確認しちゃってんだ?僕は。 なんかイラついてきた。 「お前誰?ってか、くだらない遊びは終りなノシ」送信。 返信「ヤダ」 ぽた… ん?スマホに赤インクが…? は、鼻血だ! ポタポタ…止まらん… 着信「着チャッタ」

真月乃

13年前

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「着ちゃった?」 「うん、チャイム鳴らすし、鍵なんて閉めないでね、305号室♡」 背筋が戦慄した。 なんでばれてるのーー! 思い出せ! 絶対に知り合いなんだ。 メルアドを変更したまま、登録し直していないだけなんだ。 思い出せ! 誰だ、誰だ!? ピンポーン !

aoto

13年前

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玄関にいくより先に部屋を見渡す。 僕の部屋はゴミがいっぱいだ。 掘り返せば何かしら出てくると思うがそんな時間はない。 普段から綺麗にしとかない自分のズボラさを呪った。 視界に入るもので唯一使えそうなのが…… くそっ!!ピコピコハンマーしかねぇ!! まぁ、背に腹はかえられん。 素手よりかは役に立つだろう。 僕はピコピコハンマーを片手に恐る恐る玄関に近づき、ドアスコープを覗いた。

aice

13年前

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‼ ドアの外には、白い服を来た髪の長い少女が立っていた。 かなり髪は顔を覆い隠すぐらいの長さまである。 着信「開ケテ♡」 背筋が更に凍りついた。 返信「帰れ‼」 着信「ヤダ」 返信「僕を殺しに来たのか⁉」 すると、しばらく間が空いてメールが来た。 着信「あなたを殺しに来たんじゃない。話を聞いて欲しいの」 話? 僕は鼻に詰めたティッシュを交換しながら、メールを打った。 返信「話って?」

hyper

13年前

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「……真っ暗なの」 「……なんだって?」 もっとおどろおどろしい返信を想像していた僕は、思わず聞き返す。 「真っ暗なの。何も見えない」 ふむ。 「貴方のいる場所だけが、少し明るい……貴方しか見えないの」 時と場合さえ違えば小躍りしそうな発言だが、相手は幽霊(多分)である。油断はできない。 「……僕に怨みがあるとかじゃあ、ないんだな?」 「違う!」 わあ早い。 「お願い……ここを開けて」

torino

13年前

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僕はもう一度スコープを覗いた。先程と変わらない容姿。だがちゃんと見れば体が僅かに震えていた …少しなら開けてもいいか?ピコピコハンマーもあるし。(幽霊に物理攻撃が効くかは不明だが) どきどきしながら僕は扉を少し開けた …いない え?マジで?右左上を見ても誰もいない 下を見たら、人形が落ちていた この人形はぼくが小さい頃大切にしてたけど、なくしてしまった… やっと会えた

ハイリ

13年前

- 完 -