犯人はお前だ!!…あれ??

え…違う? なんて事だ…僕はなんて事をしてしまったのだろう!? この小説の主人公である僕 名探偵、銀大地京介は 毎度の如く事件に行き合い 毎度の如く色々あり 毎度の如く証拠は揃い 容疑者全員を召集 犯人は貴方です! そこまでは良かったが… あろう事か犯人は認めないのだ! 普通ならここで長々と、聞いてもいない殺人動機を語り始める筈が… どうやら僕は推理を誤った まずい…あと8頁しか…

K5.

13年前

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事件は人里離れた山荘で起こった。被害者は大富豪の津山圭一(享年72歳)。 僕は被害者の若妻アケミ(21歳)が遺産目当てに行った犯行と推理したが、どうやらハズレだったっぽい。演技かと思っていたが本物の良妻だったらしく、現在は「疑うなんて酷い」と泣き喚いている。関係者の非難の視線がチクチク痛い。 容疑者は他に7人いる。一ページ1人ペースで指名していけば必ず犯人がわかるはずだ! ってことで犯人は…

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犯人は、前妻の息子、圭吾(41歳)だ! 「貴方は、この凶器である新巻鮭を右手に持って、圭一氏を殴った!」 「僕、左ききです」 「だ、だが貴方は右ききの人間に見せかける為に、あえて右手で殴ったんだ!」 「見ての通り、右腕怪我してるんですが」 「そ、その時飼っていた猫の毛が付いているのが何よりの証拠!」 「…これ、犬の毛です。あと、僕猫アレルギーなんですが」 やばい、ドン引きだ…。 次こそ犯人だ‼

hyper

13年前

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犯人はその圭吾さんの息子。 つまり圭一さんの孫である圭太くん(6歳)だ!!! 「君はこの新巻鮭を使って!」 「う~ん…重くてもてないよお~」 「…殺害したように見せかけて実は…」 「実は何だよ?」 やばい!周りが凄い目でこっちを見てる! 「実は首を絞めて被害者を殺害したのです!」 「僕ねえ~110㎝になったんだよ!」 「この身長で手が届くか?あ?」 周りがさらにヤバい… 次こそ…

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犯人は、若妻アケミの友人の由美子さん(20歳)だ! 『あなたはこの新巻鮭を使い、津山圭一さんの後頭部を殴打して殺害した! そうですね?』 「あたしは魚は嫌いなの。見るのも触るのも嫌なんだから」 ヤバイヤバイ。ますます周りの反応が嫌悪感丸出しになってきたぞ! あと四ページもとい四人の中に必ず犯人がいるはずだ! 次だっ!次っ!

わしぷん

12年前

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犯人は、被害者の津山圭一氏(72)だ! 「実は津山氏は死んでいない。その死体は双子の弟だ!」 私は倒れている津山氏を指差して言った。 「あ、あの銀大地さん?」 被害者の息子である圭吾さんが口をはさむ。 「何か?」 「その親父の弟なんですけど、今はタイに住んでます………女として」 「えっ…………………そ、その通りです。今のは皆さんを試したのです。よく看破しましたね。」 「………」

yoi523

12年前

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まずい… このままでは犯人を見つける前に話が終わってしまう。 そこで、僕は最終手段に出る事にした。 「このまま話していても埒があきません。でも、僕は必ず犯人を追い詰めます。 ただ、もしこの中に犯人がいましたら、僕が名指しする前に、どうか自分から名乗り出てくれませんか?」 恥を捨てて、この場にいる全員に語りかけた。 すると、ある人物が僕の前に近づいてきた。

Xiandy

12年前

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「いい加減にしてください」 「犯人出て来いなんてめちゃくちゃだろ」 僕の前に立ったのは、津山圭一の前妻、神野春子(68)と、その再婚後の夫である神野亮治(48)だった。 春子は亮治に寄り添い、涙を堪えている。 僕は混乱していた。 あと容疑者は何人いるんだっけ? だいたい、容疑者を8人に絞ったそもそもの理由は… で、あの人にあれを確かめたから… 閃いた‼ 「今度こそ犯人がわかりました!」

12年前

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「犯人は…ってあれ?」 あの人って誰だ?何を確かめた? そもそも僕は何で探偵なんだ? 今までどんな事件を解いてきた? 事件の内容を思い出せない。いや、思い出せないんじゃない。元々内容なんて無かった。必要なかった。僕がいつも事件に出逢いそしてそれを解決する。その設定が重要だった。 この小説の主人公「銀大地京介」が名探偵という設定のために。 もう犯人は分かった。 「犯人はお前だ‼画面の前のお前だよ」

Tsururin

12年前

- 完 -