犯人はお前だ!!…あれ??
え…違う?
なんて事だ…僕はなんて事をしてしまったのだろう!?
この小説の主人公である僕
名探偵、銀大地京介は
毎度の如く事件に行き合い
毎度の如く色々あり
毎度の如く証拠は揃い
容疑者全員を召集
犯人は貴方です!
そこまでは良かったが…
あろう事か犯人は認めないのだ!
普通ならここで長々と、聞いてもいない殺人動機を語り始める筈が…
どうやら僕は推理を誤った
まずい…あと8頁しか…
- 1 -
事件は人里離れた山荘で起こった。被害者は大富豪の津山圭一(享年72歳)。
僕は被害者の若妻アケミ(21歳)が遺産目当てに行った犯行と推理したが、どうやらハズレだったっぽい。演技かと思っていたが本物の良妻だったらしく、現在は「疑うなんて酷い」と泣き喚いている。関係者の非難の視線がチクチク痛い。
容疑者は他に7人いる。一ページ1人ペースで指名していけば必ず犯人がわかるはずだ!
ってことで犯人は…
- 2 -
犯人は、前妻の息子、圭吾(41歳)だ!
「貴方は、この凶器である新巻鮭を右手に持って、圭一氏を殴った!」
「僕、左ききです」
「だ、だが貴方は右ききの人間に見せかける為に、あえて右手で殴ったんだ!」
「見ての通り、右腕怪我してるんですが」
「そ、その時飼っていた猫の毛が付いているのが何よりの証拠!」
「…これ、犬の毛です。あと、僕猫アレルギーなんですが」
やばい、ドン引きだ…。
次こそ犯人だ‼
- 3 -
犯人はその圭吾さんの息子。
つまり圭一さんの孫である圭太くん(6歳)だ!!!
「君はこの新巻鮭を使って!」
「う~ん…重くてもてないよお~」
「…殺害したように見せかけて実は…」
「実は何だよ?」
やばい!周りが凄い目でこっちを見てる!
「実は首を絞めて被害者を殺害したのです!」
「僕ねえ~110㎝になったんだよ!」
「この身長で手が届くか?あ?」
周りがさらにヤバい…
次こそ…
- 4 -
犯人は、若妻アケミの友人の由美子さん(20歳)だ!
『あなたはこの新巻鮭を使い、津山圭一さんの後頭部を殴打して殺害した! そうですね?』
「あたしは魚は嫌いなの。見るのも触るのも嫌なんだから」
ヤバイヤバイ。ますます周りの反応が嫌悪感丸出しになってきたぞ!
あと四ページもとい四人の中に必ず犯人がいるはずだ!
次だっ!次っ!
- 5 -
犯人は、被害者の津山圭一氏(72)だ!
「実は津山氏は死んでいない。その死体は双子の弟だ!」
私は倒れている津山氏を指差して言った。
「あ、あの銀大地さん?」
被害者の息子である圭吾さんが口をはさむ。
「何か?」
「その親父の弟なんですけど、今はタイに住んでます………女として」
「えっ…………………そ、その通りです。今のは皆さんを試したのです。よく看破しましたね。」
「………」
- 6 -
まずい…
このままでは犯人を見つける前に話が終わってしまう。
そこで、僕は最終手段に出る事にした。
「このまま話していても埒があきません。でも、僕は必ず犯人を追い詰めます。
ただ、もしこの中に犯人がいましたら、僕が名指しする前に、どうか自分から名乗り出てくれませんか?」
恥を捨てて、この場にいる全員に語りかけた。
すると、ある人物が僕の前に近づいてきた。
- 7 -
「いい加減にしてください」
「犯人出て来いなんてめちゃくちゃだろ」
僕の前に立ったのは、津山圭一の前妻、神野春子(68)と、その再婚後の夫である神野亮治(48)だった。
春子は亮治に寄り添い、涙を堪えている。
僕は混乱していた。
あと容疑者は何人いるんだっけ? だいたい、容疑者を8人に絞ったそもそもの理由は…
で、あの人にあれを確かめたから…
閃いた‼
「今度こそ犯人がわかりました!」
- 8 -
「犯人は…ってあれ?」
あの人って誰だ?何を確かめた?
そもそも僕は何で探偵なんだ?
今までどんな事件を解いてきた?
事件の内容を思い出せない。いや、思い出せないんじゃない。元々内容なんて無かった。必要なかった。僕がいつも事件に出逢いそしてそれを解決する。その設定が重要だった。
この小説の主人公「銀大地京介」が名探偵という設定のために。
もう犯人は分かった。
「犯人はお前だ‼画面の前のお前だよ」
- 完 -
作品情報
犯人はお前だ!!…あれ??
#2533
- リレー期間
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3ヶ月