ほとり なみだが 零れ落ちて 僕の首もとを 滑っていく感触 心地がいいと笑う きみは夢に沈みこみ その瞼は開かないまま かなしみにくれた僕 きみを救えるのは 僕しかいないと 傲慢な思いに 気づかないまま ぼくらは ほとり
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うつつ 離された きみの手を 握りしめても 返らないものが この世界には多い 認められない僕には 何も残されないのかと 嘆きの声が喉をつく 白い壁がうち震え 絶望を溶かして くれる魔法を 探している ぼくらの うつつ
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ほのか 温かな手 きみを感じ 涙することに 瞳が枯れはじめ 視線をふと泳がす 卓上に置かれたもの 手にとり眺めると 風でめくられる きみの気持ち 胸があつく また涙が ほのか
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きらりとながれる みずいろした涙 がんばったら すばらしい きせきだって できるって思う しらなかったきみ たのしかったときも
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恋 僕は それを 永遠だと 思っていた 君の置き手紙 ぎゅっと胸当て 抱きしめてやった 僕も君が好きでした 未来に誇れる恋でした 君のことは忘れられない だからまた会って下さいね 生まれ変わっても恋をしよう 最後は笑顔で別れの挨拶を 君が幸せでありますよう 安らかに眠りについて 静かで素敵な休息を お過ごしください 手紙を懐に入れ 君を後にした 戻れない日 ほろ苦い 最高な 夢の 恋
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尖った心を柔らかく 包み込み軽く 受け流す 甘えと好きを 混ぜ合わす わたしのわがままを 軽く受け流し 柳のように ゆらりゆらり わたしのわがままを ゆるく許容する君に
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僕は幾度も 包まれ 溺れた 呼吸の出来ぬ 幼子 喪ったいま 藤色 ラベンダアの ほのかに薫ると、 柔らかなきみが 咲きほこる 僕のこころ 未だ鎮まらず
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アスファルトに滲む 雨 見知らぬ町 沈む かげろう 空中ブランコからすべり落ちて 伸ばした 腕が ちぎれ る。
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貴方を想う刻はいつも愛おしく サヨナラは哀しい 幾度生まれ変わっても 貴方にまた恋をしてしまうでしょう ゆるい休息を経た鳥達は 幾度も巡り会い また生命の全てで 貴方を慈しむのでしょう また貴方の温もりを感じる日まで 眠りにつき 目覚めたら 貴方に伝えきれない程の 「愛」を語りましょう 頬を伝う冷たい涙は 永遠の別れを意味するのではなく 始まりを示す涙 また、始めましょう 二人で
- 完 -