畳の上?もしくは胃袋

ガラクタ超能力。 そんな言葉を付けてみた。 だって俺の超能力みたいな特殊な特技?は今まで何の役にもたって来なかったし、きっとこれからも役に立たないだろうから。 相手の目を見ると、その人が昨日何を食べたのか、そして明日何を食べるのかが何故だかわかってしまう。 そう百発百中で。 食事が分かるからなんだ、一体何の価値があるんだ。 ホントガラクタ。

羊男。

13年前

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学校に行って友人たちと話をしていれば必然的に目は合う。それだけならまだいい。そいつらは友達だ。だが駅や電車や街で赤の他人と目が合った時が最悪だ。いらない情報ばかりが入ってくる。 気持ち悪いし、勝手に頭に侵入してくる情報に頭痛もする。 今日もほら、また。 目が合ったのは暗い目をした、綺麗なお姉さんだった。 知りたくないのに彼女の食事情報が流れ込む。 昨日、今日、明日の食事、人間。 …え?

Iku

13年前

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おかしい…。 いつもなら知りたくもない情報が流れ込んでくるはずなのに…。 今回は違った。情報は一切流れて来ず、その代わりに妙な違和感を感じた。すると、 「どうかしましたか?」 急に綺麗なお姉さんに声を掛けられ、 慌てて目を逸らす。あの違和感は一体何だ? 登校中にあの時感じた違和感について考えてみたが、結局分からなかった。 下校中、またあのお姉さんに会った。 この時は、何故か微笑んでいた。

Dr.K

13年前

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……まただ。 この女性に会った瞬間、急に俺の視界にノイズが走って、以降能力が止まってしまう。 能力のコントロールの仕方を俺は知らないし、鬱陶しい情報が流れてこなくて正直ありがたいけど、すこし妙だ。 この女性の情報を一瞬知覚し、のちに能力がきれる。そう、一瞬だけだが、彼女献立が確かにわかるのだ。 (でも……まさか) 見間違いに決まってる。

やーやー

13年前

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昨日 愛犬 今日 ド○ルド・ダック 明日 人間(ただしイケメンに限る) ゔわわわわわわーー! ((((;゚Д゚))))))) 何かの間違いだよ! 能力ちゃんと作動しなくなったのかな!? 仕方がない。真相を確かめるためにも、引き続き、あの人を観察しよう。

aoto

13年前

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お姉さんはいつも微笑みを絶やさない。それが魅力的だ。そんな彼女に罪悪感を抱きながらも、いつも通りに彼女の思考を読みとった。すると…。 今日 人間(いつも目が合う男性) 今日 人間(私の事が気になっている男性) 今日 人間(覗き見している男性) 今日 人間(そう。あなたの事よ。フフ) 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 俺はその場から逃げ出した。彼女、気づいてるぅ!

hamadera

13年前

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ヤバイヤバイほんとヤバイ!! どうする!俺!どうする! 冷や汗を流しながら俺はひたすらヤバイヤバイと心の中で叫んでいた。 すると、ぷ、と噴き出す笑い声。恐る恐る見ると、お姉さんがさも可笑しそうに笑っていた。 「ごめんなさい、あまりにも貴方が素直で…。ちょっと悪戯しちゃった」 その言葉に俺は驚く。俺は今、声には… 「そ。私、実は心の声が聞こえるの。貴方風に言うなら、ガラクタ超能力?」

こてつ

13年前

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「あ、あのっ…あ、あなたって人喰い…」 「あのさー、いくらなんでもアニメのキャラって食えないでしょ」 確かにそう言われればそうだ。 「私が思うに、あなたの能力って、食べたものが分かるんじゃないと思うよ」 「え?そうなんですか⁇」 「おそらく、あなたは食べた時に出る『満腹感』」を感知するのよ。だから、私は自分の満腹感をコントロールして、あなたをからかってみたの♡」 なるほど…。 「でもね…」

hyper

13年前

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「あなたを既に食べたのよ、私」 衝撃的な宣告をするすると飲み込んだ。意外な事実に覚えがある。 「じゃあ、俺、俺」 「幽体離脱した魂の方。体は食べた」 そんな!今ある意識は今後どうなるんだ。不可解な現実に、何故か自分が妥協しつつある。 「あなたは生まれながら私のような者に捕食される運命だったのよ。だから食べられた命に敏感になってたのね」 ああ俺は食べ物として生まれて来たのか。 「ご馳走さま」

- 完 -