花のキューピット

花のキューピット

あるところに、花の妖精が住んでいました。
彼女には、仲良くしたいと思っている男の子がいました。
けど、まだ一度も話しかけたことがありません。

花の妖精の寿命は花と同じ。
彼女に残された時間は、あと三ヶ月です。

リベー

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男の子は、良く妖精の住む花畑にやってきて絵を描きます。妖精は隠れてそっと見ているだけです。声をかける勇気が出ないのです。

男の子は今日もやって来ました。
妖精は花の影から、男の子の描いている絵をこっそり覗きました。絵の中では、男の子と女の子が仲良く手を繋いでいます。きっと男の子はこの女の子のことが好きなんだろう。そう妖精は思いました。

竹千代

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男の子はとても内気で、他の子と話すことが苦手でした。もちろん、絵の中の女の子とも話したことはありません。だから花畑で一人、絵を描いているのでした。

男の子はその女の子と仲良くなりたいと思っていました。しかし、話しかける勇気がありません。

「君達にはこうやって話しかけることが出来るのに」
花達は喋らないから。男の子は心の中では分かっていました。

「どうすればうまく話すことができるのかな?」

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「その子に絵を描いてあげたらいいのに…」
妖精は小さく呟きました。
本当は少しでも男の子の力になりたかったのですが、自分声が届かないことは知っていたのです。
「僕だって、一緒に笑ってお話ししたいんだ。でも、あの子が前だとどうしても出来なくて…」
男の子は妖精の隠れていた花をそっと撫でました。
「君みたいに綺麗な赤い頬なんだよ」
まるで自分に向けられた言葉のようで、妖精の胸は大きく跳ね上がりました。

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男の子は、ため息をつくと、花畑にゴロリと寝ころびました。そして、スヤスヤと眠りについてしまいました。妖精は、彼の寝顔をしばらく眺めたのち、羽を広げて、飛び立ちました。女の子に、彼の気持ちを伝えてあげようと思ったのです。

noname

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妖精はがんばって女の子を探しました。でも、どこにも見当たりません。妖精はしょんぼりしながら、公園に咲いている花の上で休むことにしました。

Hitomi.K

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やがて一人の女の子が公園にやってきました。あの男の子が絵に書いていた女の子に、何だか似ていると妖精は思いました。
女の子は妖精が休んでいる花の前までやって来ると、手を振って妖精に挨拶をしました。
「こんにちは、妖精さん」
妖精は驚き、思わず聞き返しました。
「私が見えるの!?」
女の子はにっこりと微笑みました。
「うん。私、妖精さんとお話しするのが大好きなの」
妖精も、にっこりと微笑みました。

lightmain

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妖精は早速、彼のことを話さなければと思いました。

しかし、もし二人が仲良くなってしまったら、もう男の子は自分に話しかけてくれなくなるんじゃないか…
ふと、そんな思いが頭をよぎりました。

彼を、取られたく、ない。

妖精は戸惑いました。
こんな気持ちは初めてです。
二人に仲良くなってほしかったはずなのに…

「どうしたの?」

女の子は不思議そうに、こちらを見つめています。

Hamaar*

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妖精は勇気を出して彼女に彼の気持ちを伝えました。彼が話しかけてくれなくても、彼が幸せならば。彼の事、知っているすべてを話しました。彼女はわっと泣き始め、
「私も、私も彼とお話したいと思ってたの、私も彼が、彼も同じ気持ちだったなんて」
これでいいのだと思いました。
そして、彼女に誘われ妖精は彼と3人で残りの3ヶ月を生きました。
3ヶ月後、彼の完成した絵の中に妖精もいます。妖精は思い出になったのです。

カッツェ

- 完 -

作品情報

花のキューピット

#182

リレー期間

1ヶ月