華麗なる運行

Q氏はダウンロードしたばかりのアプリに戸惑っていた。リレー小説が書けるアプリだ。何を書いてもよい、のだがそれがなかなか難しい。 ようやっとひねり出した冒頭の一文は、自分でも笑ってしまうほど陳腐なものだった。

coco

13年前

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しかし、その陳腐な一文は次に目にした時は美しい羽が生えていた。なんとも堂々とした姿で羽ばたいていた。

ke-na

13年前

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というのも、続いて投稿された第二段落は、Q氏の第一段落の短所を長所に変えるものだったからだ。

tiptap3

13年前

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まず、Q氏の書いた文章がこれだ。 「うんこしたい」

noname

13年前

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その短所は、これが願望であるからであった。そして二段落目でそれはそれは素晴らしいものに変わっていた。 いやっ!私は、うんこをする! そういうとQ太郎はその背中に羽を生やし、颯爽と羽ばたきながら•••うんこをした。それは、とても綺麗なうんこで誰もが言葉を失った••• だが三段落目では、二段落目をはるかに凌駕するとても感動的なものになっていた。

yosuke282

13年前

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というのも、1段落目の「うんこがしたい」 この願望が3段落目では完全に否定されているのである。

T Yu-ji

13年前

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「トイレットペーパーを使わず、うんこをする!」 はたして人類が未だかつて挑戦したことない愚かな試みを成功することができるのか? これはその試みを克明に記録した報告書である。

jotakuro

13年前

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ここまで読んだ私は感激のあまり無意識に天を仰いだ。 まさかこれほどに私の文章が飛躍しようとは。 私はたった一言、「うんこしたい」と書いただけであるのに、またたくまに報告書にまで昇華したのだ。 まさに人類の叡智の結晶ではないか! まさにこれが、精神進化の証なのだ! 天を仰ぐ私の目に、仰々しくも光輝く一筋の涙が溢れたのだった。 最後の一行を書き加える愚行が許されるのであれば、私はこう書こう。

yoshihu

13年前

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「あ、ちょっと漏れてた」

おかや

13年前

- 完 -