詠み人たち

語彙や形容という有数の卵子を内包した子宮に、インスピレーションという名の精子が意識的に運送されて目的を遂げるべく焦燥、する。実際出逢う確率は三億分の一とか。気の遠くなるようなドラマだ。 エンター、バック、シフト、シフト。 完璧主義じゃとっくにこの世にいない。 くわばらくわばらケセラセラ。 悪魔川賞グッドバイ。 オギャーオギャー エンターだらけのこの人生! バックやシフトはありゃしない!

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しかしデリートは? 言ってみただけだ。人生削除もありゃしない!嫌なことは目を閉じ耳を塞ぐ。全て遮断。シャットダウンする。遮断はシャットダウンの当て字。音までも当てた巧妙な当て字だ。 我々は意味のある言葉を使っているんだろうか? 溢れるカラッポの単語を繋いで言葉を紡ぎ物語を生む。 完璧主義じゃないけどベストな、あぁ!これじゃダメだな Del + Ctrl + Alt ....

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強制終了?統制不能! 言葉は流れるせらせらと。過ぎた日を振り返ってみりゃ、青い言葉も黒い言葉も。お前を笑う、けらけらと。 そいつら老いず、そいつら死なず、やがて寝首を掻きにくる。 そんなの気にせずケセラセラ。不細工破廉恥引き連れて、やがて至るは大団円。 そこまで歩くきゃない人生。無様な言葉を引き連れて、進むことしかない人生。戻るも消すも出来ゃしない。 それでも気にせずケセラセラ。エンター!

noName

12年前

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ctrl+c。 そいつは君の言葉かい? ctr+v。 こいつは僕の言葉かい? 頭捻って生み出す言葉は、残念ながら中古品。 ドヤ顏で出す切り札は、他から見れば不良品。 苦悩の末の残骸は、手垢に塗れた骨董品。 おや困った。 それでも僕らは言葉飼い。 誰かの何かに似ていても、 僕らは戦う言葉飼い。 無い胸張って出すしかない! さあ200文字、待ったなし。 ウケるか? スベるか? 勝負だ! エンター!

ナゾグイ

12年前

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忘れないように保存。 閃いた言葉、 目の前の情景を書き記した言葉、 自分の記憶、記録、 あの日感じたこと、 ctrl+s。 積み重なるそれをどう保存するかは、僕の自由。

12年前

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ガジェット一つ閉じれば体が軽くなる。 ファイル一つ閉じれば軽くなる。 心も体も処理スピードも。 フリーズしないように気をつけて。 Alt+F4 ため込んだ記憶を保存したら、閉じて、次のファイルを開こうぜ! 未知なるデータが僕を待つ! Shift+↑ 言葉を選択するのは君次第!

aoto

12年前

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うつくしい君を描きたくて、完璧な恋文を作りたくて、僕はずっと長い言葉を書き溜めている。 溢れんばかりの文書。 Ctrl+a。 青く反転する君への想いを、僕は選ぶ。 けれど信号に変えて送り出す前に、僕はその言葉達を読み返す。 ぐちゃぐちゃと綴られた黒い欲。 Ctrl+x。 本当に伝えたい醜い本音は、切り取ってしまおうか? 言葉を選ぶのも、僕次第。 言葉を捨てるのも、僕次第。

12年前

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夢が誠か、この世の中に ホントのことなどありゃしない。胡蝶の夢とはよく言った。 エントロピーの増大で宇宙の最後は熱的死。 同じアホなら踊らな損。私と一緒に踊りませんか?バック、ステップ、またバック。シフトを挟んでまたバック。 アットマークは御法度さ。フットワークが重くなる。きっと君のワードローブ、スカイメールでいっぱいさ。 貯めたメールを捨てる時、見上げた空に光る星。星が足下落ちて来た!

cmjk1999

12年前

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蝶よ蝶よ 汝は誰そ 我よ我よ 汝は誰そ はっと起きれば土の床 瞼の裏には夢か現か ぼんやり青い筐体に カタタンタタンと音高く 打ち鳴らす白い鍵盤に ぐるぐる廻ることばたち 眼を擦りかえりみる 文机の上の筆と竹端 寝床の周りに散ることば 雑念だらけで筆をふるって 遠きの処の 心を想う 目に見えぬ人の悲喜愛憎 気に掛く頭の右往左往 想う阿呆に 書くる阿呆 時の別無く皆阿呆

水無月

12年前

- 完 -