黄身と君とがダブルな日

ちょっとうれしいこと。 スクランブルエッグを作ろうと、卵を割ったら、黄身が二つだった。 せっかくだからスクランブルエッグから目玉焼きに変更。 コーヒーメイカーがコーヒーをいれている間に、2人分の朝食を作る。といっても、トーストなんだけどね。 彼が起きる前にテーブルに並べ、彼を起こしに行く。 「おはよう。朝だよ。起きて」

あいく

11年前

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「ふぁおぁよ」「ふぁおぁよ」 「はい、おは…」 「え?」「え?」 「え⁈」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「「「えええっ⁉」」」 彼が二人に殖えてた。 ちょっとうれし♡ … んなワケないしょっ‼ でも… 当人…達は、何食わぬ顔で、私の目の前で、それぞれ目玉焼きとトーストを食べてる。 私はもう、トースト焼く気にもなれず、素のまんまのパンを咥えたまま、殖えた彼…らの動きを見守る。

真月乃

11年前

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二人は、動作にわずかな違いこそあれど、ほとんど同じような食べ方をしている。 コーヒーを飲むタイミングしかり、パンを食べ終わるタイミングしかり。 もう、何がなんだかよく分からない…。 二人は気にせずに朝食を食べているが、私は置いてきぼり状態だった。 けど、どうしてか、黄身が二つだった卵が頭から離れない。二人はまるでそれだったから。 「「ご馳走様!」」 そして二人は同時に朝食を食べ終わった。

star*gazer

10年前

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「ねぇ。お互いになんか思ったりしないの…?この現状を。」 私も二人が食べ終わると同時に、パンを皿に置き、思わずきいてしまった。 「「いやぁ…、どうしたもんかなぁとは思うけど…。」」 困り顔をしつつも、ヘラヘラとしている彼…らに、イラっとする。 「思うけどの続きは!?そう思うだけ!?このままでもいいの!?」 突然私が怒りだすもんだから、二人はオロオロとし始める。その動きや表情まで全て一緒…

Geru

9年前

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こっちまでオロオロしてしまう。いろんなことで 「あー。ごめんって」 そう言うと彼…らは笑顔で 「いいよ(^∇^)」 (^∇^)(^∇^)←これと全く同じだった。 思わず変な顔になってしまった。

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全く、毒気が抜かれわ この2人を見てると。 「でも、どうしようか。2人は思い当る節はあるの?」 「無いよ?」「無いよ?」 いら。 「無いって…もっと良く考えて見て?何か変なもの食べたりした?」 「無いよ?」「無いよ?」 いらいら。 「あアァァァ!もう!ムカつくな!何で 無いよ?で終わんの?もっと真剣に考えろよ!」 ついに私は切れた、その瞬間いい事を考えてた。 「そうよ、どっちか死のうか❤️」

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彼のポカーンとする顔…おっとしつれい、彼らのポカーンとする顔を見て、私の思考は正常に戻ったようだ。 「やーだな、本気にしちゃって。じょーだんだよ、冗談」 一瞬本気になったけど。まあ、そんなことは言わない。 彼らがほっとしたように息をつく。 「よかった」 「よかった」 でも、やっぱ2人で一緒にものを言われるのは気に食わない。しかも、一秒くらいずれてるもんだから、頭が痛くなる。

1106

8年前

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双子のような彼と彼は、朝食を終えるとそろって服を着替えて並んでソファに座ってふたりで新聞を読んでいる。 「「今日はどこか行く?」」 「出かけられるわけないでしょ!」 「「じゃあ家でゆっくりしようか」」 ふたりの間で交わされる会話はない。違いに目も合わせない。鏡合わせのようで、完璧なシンクロでもない。 私はふたりの彼の間に座って、両側から優しく頭をなでられる。

波多海

8年前

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とってもとっても癒される〜。 幸せ度数は、確実に2倍になってる。 まるで、恋愛の神様が「ダブルサービスデイ」をくれたみたいだ。 そう思うと、このまま家でいるのがなんだか勿体無い気がしてきた。 「やっぱり、出かけよっか?」 「うん」「うん」 「じゃあ、支度して!」 「わかった」「わかった」 とりあえず、今日だけの特別な事として楽しもう。 明日、卵を割って黄身が三つだったりはしないと思うからね〜。

- 完 -