ゲシュタルト

※これは、会話文だけで進む物語です。 「ねえ、ちょっと!ねえったら!」 「っせーな、なんだよ!」 「なんか外にいる気がするんだけど…」

hyper

13年前

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「はあ?何もいねえって。気のせいだろ?」 「…そうかなぁ…」 「………仕方ねえな…見て来てやるよ」 「気をつけてよ…」 「ハイハイ。待ってろよ」 「……遅いなぁ…あれから十分は経ってるのに何で帰ってこないのよ……」 「ただいま…何も居なかッたよ」 「…本当?でも、随分遅かったね。何してたの?」 「…家の周りをよく見てたカラ」 「そっか、ありがと」 「いやイヤ。やっぱリ、君の気のせいジャナイ?」

13年前

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「そうなのかも。大丈夫?寒かったでしょ?温かいココアでも飲む?」 「ここア?…いや、イイ」 「えっ?翼の大好きなココアだよ⁈…翼、なんかおかしい?」 「オマエ、ナマエ…は?」 「ゆ、雪だよ⁈ねぇつば…っ」 「電話?雪から…珍しな、あの子が電話なんて。もしもし?どうかしたの?」 「もしもし…?今かラ会エル?」 「どうしたの?翼君となんかあった?待って、駅で待ち合わせね」 「うン…」

Iku

13年前

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「雪~、こんばんわ。ごめんね~待った~?」 「…待ツた。」 「え?…あ、ご、ごめん」 「早くイコ」 「う、うん。どこで話す?」 「ツイてコい」 「…着いて来いって?雪、何かまだ怒ってる?」 「いイから。早くコい」 「い、痛い、ちょっ…そんなに引っ張らないで、雪、何か変だよ?え⁉」 「もしもし……お?理沙ちゃん!」 「会いタい。ユきの家キて。三人イるから。あと二人オスつれテきて。みンなでシヨウ」

真月乃

12年前

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「理沙ちゃ~ん!とりあえず、猛と裕一連れて来たぜ」 「ありガと、わたル」 「雪ちゃんもいたんだ。あれ?何かおかし…」 「じヤあ、行コうヨ」 「ちょっ、待てよ!どういう事だよ!?」 「お、俺帰ろうかな…?何か怖ぇよ…」 「ユういチもクるの」 「いい嫌だ、行きたくねぇ!やめろっ!うわっ!」 「渉く~ん、急に電話してきてどぉしたの?」 「今カら会えネェか?ちょツと話しタい事ガあるンだヨ。」

Dr.K

12年前

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「警部、どうされました?」 「いや、娘の美帆から電話がかかってきたんだが、何か様子が変でな」 「変?」 「今すグ来て、と言ったきり受け答えもあやふやで…とにかく話し方がいつもの美帆じゃない」 「警部!同じような話、どこかで聞いたことがあります。あ、これだ。ネットの某掲示板で話題になってました」 「なになに…、カタコトの受け答えに、人格の豹変。確かに電話口の娘の様子と同じだな…」

トール

12年前

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「これはただ事じゃないようだな」 「警部、同様の被害報告が七件見つかリました」 「詳細は?」 「いずれも、香川雪の知人友人だそうで、現在彼女の住むメモリアルハイツ202号室に向かってから行方を絶ってしまっているようです」 「乗り込むぞ」 「はっ。それデは今すぐ支度をしまセう。報告にあがってきているのは若い男女。うまくいけば、補導程度ですむことカと思われまス」 「怪奇な事件にも必ず裏があるものさ」

aoto

12年前

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「美帆っ……これは何がどうなっているんだ彼らは一体何を」 「パパ来てクれたんダね。美帆嬉しイな。パパも一緒にシよ」 「美帆一体何を、正気に戻るんだ。お前からも何とか言ってくれ」 「わカった」 「おい、俺を抑えてどうする違うだろ、ふざけてる場合じゃないだろ。ちょっと待て、お前らその体は一体どうなって、うっうわーやめろ俺はまだ、うぐっ。ちくしょう最後にこの情報だけでも外に電話を……しなく……てわ……」

noname

12年前

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「先生、人体実験終了しました。」 「ふむ、結果は?」 「やはり彼の脳は素晴らしいです。互いの意識を共有させ一つにし、自分のものにする独占欲の塊です。」 「日本はどうなっている?」 「日本人口の86%は彼と一つになっています」 「そうか、では上に成果を伝えておけ。」 「はい。彼はどうしますか?」 「停止しておけ、そのうち処理班が来る。わかったか?」 「はい、分かリまシタ」

kujita1gou

12年前

- 完 -