吾輩は猫である。名前はチロ。 吾輩は人語を理解する。然し何処で覚えたのかとんと見当がつかぬ。普段はここで読書をしたりてれびを見たりして暮している。 吾輩はこの前初めてぱそこんと云うものを触った。我家に居る男が片付けずに出掛けた。画面にはついったー。 ついったーか。以前から男が時々楽し気に話をしているので気になっていたのだ。 そんな訳でこの度、ついったーをはじめた。ぜひふぉろーとやら、宜しく頼む。
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「猫みたいな語り口が面白い」と言って、日に日に吾輩をふぉろーする輩が増えて行った。 失敬な。吾輩は、正真正銘の、猫である。 「人語を解するというだけで人だと決めつけるのは猫への冒涜だと吾輩は捉える(´・ω・`)」 吾輩にそっくりの、可愛らしい顔文字とかいうやつを添えてついーとする。 「やっぱり猫って人語分かるんですかね!うちの猫もまるで私の話してる事が分かってるみたいに鳴くことありますよ」
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「分かったように鳴くのと理解するのとは意味合いが全く違う。今こうして我輩がこんなついーとをするのは我輩が猫だからである」 こんなついーとをしてみたのだが、誰も我輩が猫だとは思ってくれないようだ。 「ぜひ、その猫ちゃんに会わせて下さい!」「あなたは猫の気持ちを読み取るのが上手なんですね」などの返信が来る。 猫ちゃんという呼び方は我輩には不釣合いだ。 どうすれば我輩が猫だと気付いてくれるだろう。
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「吾輩の好物はカリカリである。鮪味が最も良い。すーぷなるものは邪道である」 全く下等な人間と一緒にされるのは我慢ならない。好物をあぴーるしてみたが、幾分証拠が弱い。 猫たる証拠を考えるがとんと思いつかない。そもそも何故猫たる吾輩がここまで悩まなくてはならないのか。智に働けば角が立つとはこの事だ。とかくに人の世は住みにくい。 吾輩は日当たりの良い座布団で丸くなり、大きな欠伸と共に眠りについた。
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そうだ! 眠るとはなんと素晴らしいことか。おそらく眠っていたことで我輩の中に眠っていた才覚が目覚めてしまったに違いない。 目覚めとともにひらめいた妙案を早速試してみるために、我輩はついったーを開き、きーぼーどの上でわるつを踊るようについーとを始める。 「我輩は真実猫である。その証拠として同居人、岩田まさるの家での様子をお伝えしよう。彼は今日の朝、目玉焼きとぱんを食しながらほうと溜息をついた」
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「我輩はその間、彼の膝の上で丸まっていた。こーひーの匂いは好きではない。その後、我輩はてれびのりもこんでいいともをつけて見ていた。今日のたも」 ついったーは140文字しかついーとできないことに気づいた。「り」とその続きが入らなかった。 その時、我が家の男が帰ってきた。 すーぱーでぽてちを買ってきたらしい。 我輩が好きなのはぴざぽてとだが、この頃こんそめもはまっている。
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「おっ?なんでツイッターが付いたままになってるんだろう。しかもこれ俺のアカウントじゃないし。しかもフォロワー3000000人ってかいてあるし。多過ぎだろ。……まさかお前がこれツイートしたのか、チロ?なぁんて、冗談だよ冗談」 我が家の男、岩田まさるはどうやら吾輩の正体に気付いていないようである。バレるかと思って一瞬ひやっとしたが安心した。 さあ、気を取り直して男の買ってきたポテチを楽しむとしよう。
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「お前これ好きだもんなーほら」 今日は吾輩の好きなぴざぽてとであった。喉を鳴らして食べると、男が嬉しそうに吾輩の頭を撫でる。一体何が楽しいのか、人間とはよく解らぬ種族である。 聞けば人間はついったーに楽しい事や好きなものをついーとするらしい。ならば明日は、吾輩もびざぽてとを食べた事でもついーとしてみよう。 「チロは確かに猫だけど、俺の家族だよ」 岩田まさるは再び吾輩の頭を撫でた。
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なんだ、この男はついったーの輩よりも物分かりが良いではないか。吾輩は満足して眠りについた。 翌日。 岩田まさるのあかうんとを覗いてみると、なんとぴざぽてとを食す吾輩の写真があっぷされている。たくさんのお気に入りを貰っているようだ。けしからん。 吾輩は自分のあかうんとに切り替えて、岩田まさるに抗議のりぷらいをすることにした。 「可愛い猫ちゃんですね。いっぱいかりかりを食べさせてあげてくださいね」
- 完 -