小人の喫茶店

「どうしてあなた達8人は、そうまとまりがないのでしょう」

ミラ先生は、溜息をついた。

今日特別授業として集められた8人は、みんな可愛い小人達。
さっきから帽子を引っ張りあったり、背くらべしたりと、先生の話を聞かずに騒いでばかり。

「そうだわ。この8人で、喫茶店を開いてみましょう!庭園のテラスを使って、皆で協力すれば出来るはずよ」

突然の提案に、小人達は騒ぐのを止め、ぽかんと先生を見上げた。

斉藤紺

- 1 -

最初に口を開いたのは一番元気な小人。
「やる!面白そう!」
一番元気な小人は駆け回ったりジャンプしたり大はしゃぎ。

「僕ね!おきゃくさまをおむかえする人をやる!」
「あら、ウエイターさん?」
「うん!うえいたーさんやる!いらっしゃいませする!」
一番元気な小人は元気に言うが、あまりに大きな声だったので、隣の子に、うるさいよ!と言われてしまった。

「そうね、いいかも。他のみんなはどうする?」

aice

- 2 -

「一つの店を始めると言うのは、そんなに簡単なことでは無いはずです」

一番理屈屋の小人が丸い鼻に皺を寄せる。勢い余ってぶつかってきた元気な小人を邪険に押し退け、更に言った。

「設備、場所代、初期経費だけでも大変なものですよ。失礼ながら先生、あなたには論理力と言うものが欠けている」

これにはミラ先生も苦笑。

「大丈夫よ、あそこなら授業に使わせて貰えるし、設備もととのってるわ」

金春こんぺい燈

- 3 -

「そういうことなら良いのです」
一番理屈屋の小人が満足そうに頷いた。

「じゃあ、あなたはどうしたい?」
ミラ先生が一番人見知りの小人に尋ねる。人見知りの小人の頬は、突然みんなからの視線を浴びて真っ赤に染まる。
「わ、私は……」
言いかけて小人は口をつぐんだ。自分のやりたいことを口にするなんて、傲慢だと思ったからだ。

「良いのよ、言ってごらん」
ミラ先生の優しい微笑みを見て小人は再び口を開く。

熊岡りり

- 4 -

「ケ、ケーキを作りたいです」
消え入るような声で呟いた

「あら良いじゃない。私も頂きたいわ」
甘い物好きのミラ先生は満面の笑顔だ
小人は更に顔を赤くさせた

次に一番ネガティブな小人に先生は尋ねた
彼は自分の眼の下にある隈を指でなぞりながらこう呟いた

「僕たちが頑張った所で誰も来ないですよ。どうせ僕たちは役立たずの小人なんだ」

「大丈夫、そんなことないわ」
ミラ先生はふふっと笑いながら言った

ふでぺんぱんだ

- 5 -

「学校にいらっしゃるお客様や、私の知り合いやお友達にも声を掛けるわ。きっと大にぎわいになるわ。
それに、あなたたちの頑張りを見たお客様は、きっとまた来てくださると思うの」

…食器洗いくらいなら、とネガティブな小人が呟くと、ミラ先生は満面の笑み。

皆の期待が高まる中、一番手先が器用な小人が名乗りをあげた。

「私は看板を作りましょう。
それに、テーブルや椅子にも綺麗な細工を彫るのはどうですか?」

- 6 -

「素敵ね。お出しする飲み物やメニューだけじゃなくて、設備にまで気を配るなんて。あなたの優しさは、きっとお客様に伝わるはずよ」

そんな中、一番の皮肉屋と一番の面倒臭がり屋が手をあげて言った。

「こんなことして一番喜ぶっつーか満足するのは、先生なんじゃないの?」
「だよね。僕ら、別にやりたくてここに来たわけじゃないし」

それを聞いたミラ先生は、優しい顔で微笑みながら、二人にある事を教えてあげた。

kyo

- 7 -

「そうね、私は勿論やりたいわ。
けどね、先生だけでやってもつまらないじゃない?私の大好きなみんなと一緒にしたいのよ。」

先生は、優しく二人に言った。

「…べ、別に…やってあげてもいいけど。」
と、1人の小人が言うと、
「しょーがないなぁ…イイよ?暇だし。
…面倒いケド。」
と、もう1人も言った。

「そう?良かったわぁ。ありがとうね。」
先生は、ふふ…と、優しく微笑んだ。

「…じゃあ…

千景@

- 8 -

「そうと決まれば、皆で準備ね」

ミラ先生の一言で、小人たちは動き始めた。
元気な小人はウエイター。理屈屋の小人は会計担当。人見知りの小人はケーキを作る。ネガティブな小人は皿洗い。器用な小人は看板作り。皮肉屋の小人は完成した家具で内装を飾る。面倒臭がり屋はケーキの材料を買いに行く。

「あれ、もう一人の小人は?」
忘れられていた小人はお客に混じってケーキを食べていた。
「お前ばかりずるいぞー!」

aoto

- 完 -

作品情報

小人の喫茶店

#2990

リレー期間

6ヶ月