「じゃんけんポン!よし。んじゃぁ俺が先な。」 いつものように友達と山奥の祠まで行って帰ってくる。そんな遊びをしていた。 ただ時間を競うそんな遊び。 しかしいつもと違ったのが、先に行ったのが帰って来ない。 かれこれ1時間と24分弱。 煎り豆も尽きたので探しに行く。 祠についた。が、何もない。 だから踵を返して帰ろうとした。 狐面が立っていた。 「逃げる」「たたかう」「豆をたべる」 さぁ。どうする?
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「豆を食べる」← 俺は豆を食べた。 狐面は俺と背格好が同じくらいだった。 逃げても戦ってもいいが、まずは様子を見てみよう。 煎り豆は塩味で、おまけに唐辛子とニンニクのスパイスが利いていて旨かった。 飲み物を持っていないので、ヒィヒィ言いながら食べ続けた。 狐面が物欲しそうに見ている。どうやら、興味を引いたようだ。 「たたかう」 ← 「逃げる」 ← 「豆をあげる」← 次はどれを選ぶ?
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「逃げる」← 俺は逃げた。 あえて逃げてみた。なんだか薄気味悪かったから。豆の袋を片手に暫く山道を駆け下り、山の登り口まで走って来た俺は振り返って愕然とした。 俺の後ろ、1mもないところに狐面が立っている。そして意外と幼い声で言った。 「人の子よ、わっちにも豆をくれ。」 「たたかう」← 「逃げる」← 「豆をあげる」← 「話しかける」← あなたの予想外の動きで選択肢が増えました!次はどうする?
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「豆をあげる」← もう逃げ仰せられない。ここで断ってもどうせ追いかけてくるだろう… 堪忍して豆をあげた。 「上手いのう。もう少しおくれ」 お気に召したようだった。 しかし、豆は残り少ない。貴重な食料として豆を残しておきたいが… さあどうする? 「食料をかけてたたかう」← 「逃げる」← 「大人しく豆をあげる」← 「話しかける」←
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「話しかける」← 俺だって豆が必要なんだぞ。 取り敢えず泣く演技でもして同情させる作戦だ! 「うぅっ…お、俺には……貧乏で…豆が大好きな家族が待ってるんだ…。うっ…豆の種を植えても芽が出ない…うぇっ…米も全部おコゲ状態……。だから俺にも豆が必要なんだぁぁぁーっっ‼」 さぁどうする? 「セリフの勢いで思わず豆を狐面に投げつけるてしまう」← 「逃げる」← 「豆をたべる」← 「木にのぼる」←
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「セリフの勢いで思わず豆を狐面に投げつけるてしまう」← 俺の攻撃!豆を狐面に投げつけた! 狐面は豆を拾って喜んでいる! 「…家族よりもわっちにこの豆をくれるのか。 ふふっ、こう見えてわっちも立派な"あだると"じゃ。 心配せずとも子を成すことはできる」 狐面はもじもじしている! 俺の頭がフリーズした! 同情されるどころか変な誤解をされてしまったぞ! どうしよう? 「責任を取る」← 「」←
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「」← 責任なんか取れない。 とはいえ、頭の中は真っ白だ。 「人の子よ、そう照れるでない。わっちと共に生きると言うならわっちはそなたに尽くそうぞ」 「とりあえず狐面の手を取る」← 「そもそも狐面と子ども作れるのかまずその疑問をどうにかする」← 「爆走して逃げる」← 「」←
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「まず狐面と子供つくれるのかその疑問をどうにかする」← 色々ツッコミどころ満載の状況を打破すべく狐面に問いかけた 「そうは云うが俺は人間であってお前は人でなかろうて」 「狐の嫁入りと云うが言葉を知っとるであろう」 人外でも結婚は出来ると云うつもりだ 「思い切って嫁にする」← 「思い切って出家して逃げ切る」← 「忘れかけてた友達にヘルプを頼む」← 「走馬灯」← 「」← さぁ、どうする?
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「忘れかけてた友達にヘルプを頼む」← そうだ、あいつは結局どうしたんだ! 「コウタ!!助けてくれ!!」 すると狐面は腹を抱えて笑い出した。 「何が可笑しいんだよ…!」 僕お面を取ると… 「!」 「ばれちゃったかぁ…楽しかったのに」 コウタだった。が、姿が狐になった。 「騙してごめんなさい。遊ぶ相手が居なかったの。とても楽しかったわ。さようなら。」 それからこの季節になると僕は必ずここへ来る。
- 完 -