ジュウと燃える鉄の印。 構えて、クク、と笑いながら。 その目とハチ合わせにならぬよう。 ナナめに捉えてしんぜやしょう。 ロクな態度はとるなかれ。 ゴ用の無いもの許さず通さず。 そのシを覚悟と言うならば。 サンサンお日様その元で。 千切れたニくのニおいを嗅がせ。 イチじくの香りは消え失せた。 ゼロに帰せよ無に帰せよ。
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銀杏の葉が舞う頃 西に住む魔女は死んでしまった。 三日月が嫌いです。 詩人はみんな偽物だ。 語呂合わせが得意なだけの 碌な奴がいないから。 名無しの男が路上で唄う。 蜂の羽根の羽音のようにささやかな歌声は 救急車のサイレンに掻き消されてやがて消えた。 銃声が遠くで聞こえる。
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充分幸せ過ぎたのに 苦しめるは狂いびと やさしい気持ちで囁けば 何故かあなたは涙する 無理を承知で繕おうとして ごめんは不要聞きたくないと 至極かなしく謗られる 皆と同じが分からない ふたりの気持ちはすれ違い いつまで経っても狂いびと いい人 にっこり さらば達者で 幸せ 壊した ろくでなし 泣いても 離れぬ 黒髪の香 とうとう狂ったまま臨終
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従者を引き連れ野山を越えて 国から落ち延び命を紡ぐ 八人が見た黒い影 名無しの男 ろくでなし 極悪人の 与太話 惨憺たることこのうえなく にんまり笑う不気味顏 一刀両断 零れる血
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天まで届きそうあの恐怖 泣いてる子供を慰めて えいっと力を入れる声 セーフと言えないあの轟音 しっくりこないこの感触 ファイトなんかじゃ通用しない 不穏な感じになっていて スリップ事故を起こした車 釣られて現れるこの悲劇 わんわん泣いてるあの子供
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さあ 噛ませ もっと 噛ませ それが好きだ あれが好きだ だからもっと 中を 噛ませ ジュウジュウ ジュクジュク 一の声も旨そうだ 二の蠢きは 前菜に 三は優しく いただきます 四は痺れる 味がする 五だけは飲み込む 清涼水 さあ 噛ませ もっと 噛む ジュウ ジュクジュク ジュウ ジュクジュク ああ 旨そうだ 旨そうだ ジュウ ジュクジュクジュク
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礼から始めてみたかった。石階段を駆ければ位置もあやふやである。人間となれず、せめて弟子に。何度も三時を流すブラウン菅の飽きられること山投棄。詩人もまた、人なれば。あら、…ガウガウ? 「ごめん!」 僕は碌でもなく弟子にもなれず、犬から逃れる。名無しの男はどこへ行った。途中、首を見た。八月の街にて、それを持つサムライとすれ違う。悔やんでもまた誤解ならば。僕も黒髪黒目だけで、言語は違う、苦労するかな。
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遠い昔のそのまた昔の話 ここの罪人達はみな病にかかった 約束も守れず死にゆく者達 斜めに構えた看守は笑った 無意味なことだと気付かずに いつまで続くかも分からぬ狂宴は 酔って暴れて大騒ぎ 見つからないのは解毒剤 再び監獄に日が登ろうと 瞳に光が宿ることはない 霊体になって踊ってる
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_____ 【終わり】 《編集者》 中井 麗一 1歳(精神年齢) 菊池 芙美 23歳 進藤 琴吾 45歳 向笠 菜奈 67歳 薬丸 寛人 89歳(±10歳) 戸田 拓哉 98歳(±10歳) 名波 亜斗夢 76歳 伊月 華夜 54歳 美和 健治 32歳 市原 玲 10歳 それでは、 熟睡をやめ、仲良く昔のように 極楽目指して、死ぬ身であるように、 祈りましょう。 ぱんぱんっ(柏手) 礼っ!
- 完 -