イケメンバーガーの生涯

むかしむかしあるところに、 おじいさんとおねえさんがいました。二人はいわゆる、年の差カップルでした。 しかし二人はとても仲が良く、その仲の良さは、村一番のおしどり夫婦だと噂されるほどでした。 その日も、体の弱いおじいさんは家でゆっくり休み、その間におねえさんは街へアルバイトへ出かけました。

kam

12年前

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おねえさんがバイト先で「ご一緒にポテトもいかがですか」と言っていると、お客さんは百万円のジャンボびっくりバーガーを注文してくれました。 ところが、出来上がったジャンボびっくりバーガーのジャンボサイズを目の前にしてお客さんはびっくり。テイクアウトを諦めてしまいました。 「仕方ない。そのジャンボびっくりバーガーはおねえさんが持ち帰るといいよ」 おねえさんに下心を抱く店長がバーガーを持たせてくれました。

真月乃

12年前

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どうにかこうにかおねえさんは家にたどり着き、眠っているおじいさんを優しく揺り起こしました。 目を覚ましたおじいさん、目の前のジャンボびっくりバーガーにびっくり!その場で気を失ってしまいました。 おねえさんはおじいさんに悪いことをしたと思い、少し泣きました。 8時間働いたあとに泣いたせいでお腹がグウと鳴ります。もう、先に食べちゃえ!とおねえさんは台所へ包丁を取りに行きました。

髭鬘

12年前

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おねえさんがジャンボびっくりバーガーを真っ二つに切ると、なんということでしょう、中から玉のようにイケメンなおにいさんが出て来たではありませんか。 これにはおねえさんも大層びっくりしましたが、日頃のクレーム対応で肝が据わっていたこともあり、気を失うことはありませんでした。 生まれたての姿だったおにいさんは、ジャンボびっくりバーガーのレタスを腰に巻きつけ、呆然とするおねえさんにこう言いました。

石灰帝王

12年前

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「さあ、僕を食べて」 「食べてと言われても…それは、本当に食するという意味なのでしょうか?それとも、大人が口にする「エッチしよう」という意味なのでしょうか? おねえさんは頭を抱え込んで考え始めました。 いくら考えても答えは浮かびません。答えはおにいさんの頭の中にしかないのですから。 おねえさんはおにいさんの頭の中を見たいと思いました。おにいさんの頭を切り開こうと手に持った包丁を握り直しました。

Noel

12年前

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「やめなさい…おねえさん…」 背後から呼び止められ、おねえさんは思わず手を止めました。 気を失っていたおじいさんが、目を覚ましたのです。 「玉のようなイケメンではないか…わしなんかを食べるより、そのおにいさんの方が、おねえさんもきっと幸せじゃろ…わしの他にいい人は沢山おるよ…」 おじいさんのその言葉には、大人の意味合いと、おねいさんを心の底から思いやる優しい気持ちが精一杯込められていました。

おちび

11年前

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「なにを言うの!私は一生あなただけを愛すると心に誓ったの!だからバイトのシフトも増やしてるのよ‼︎」 と、おねえさんは涙ながらに訴えました。 「馬鹿なことを言ってしまって、わしが悪かった。泣きやんでおくれ。」 と、しばらく二人は抱きしめあいました。 すると、「あの〜」と背後から声が聞こえてきます。 「あ、まだいたの?そうだわ!ちょうど働き手が欲しいと思ってたところなの!私のかわりに働きなさい!」

Air

11年前

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次の日から、おにいさんはおねえさんの代わりに働きに出るようになりました。 バーガー生まれでも、流石は玉のようなイケメン。おにいさんはバイト先のギャルをばったばったと落として自分の分も働かせ、おねえさんの三倍稼ぐようになりました。 おねえさんとおじいさんは一日縁側に寝そべって、ウフフアハハと幸せな時を過ごしました。 そんなある日のこと、おにいさんが取り巻きのギャルを三人連れて帰ってきました。

さはら

11年前

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じいさん…話があるんだ。 このギャルたちとおねえさんを交換してくれないか? じいさんもそんな地味な女より若いギャルの方がいいだろう? おじいさんは考えました。 どうもこいつの考えていることはわからない…やっぱり頭の中を見てみる必要がある。 おねえさんにもこのことを話すと好奇心で目をキラキラさせながら賛同し、2人でおにいさんの頭を切り開きました。 そこにはただ、難解な迷路があるだけでした。

SaF

11年前

- 完 -